植島啓司


●「男が女になる病気」(福武文庫)

かつて黒海のステップ地方に済んでいた最古の騎馬民族とされるスキュタイ人の中に伝えられてきた<男が女になる>という謎の病。この病の持つイメージの連想作用を通して、西洋社会の文化や習性の根底にうごめいている<野生の思考>を描き出す、澁澤龍彦をして「あたかも推理小説を読むような興奮を味わった」と言わしめたスリリングな論考。

 <男が女になる病>という題材を扱っていながらも、内容はその実この植島啓司イズムとでも言うべき論述の原点/エッセンスからなる作品。とか言いつつこれ1作しか読んでないけど。偉そうですみません。

 <男が女になる>と言われて何を思い浮かべるかと言えば例えば去勢。次いで言葉の比喩なんかが考えられますが、この本ではその一つ一つの可能性を検討して潰していきます。そして最後に何が残るか。それが<男が女になる病>の答。それは果して何か? えーと、忘れました。ちゃんと読んだつもりなのに答が何だったのか思い出せません。こんな読書感想ありえません。

 この本の冒頭にある文章、

>このテクストは異なる縦糸と横糸によって織りこまれている。横糸は、男が女になるという一つの不可思議な謎をめぐっており、横糸は<野生の思考>を対象としている。

の通り、途中途中で<男が女になる>現象に密接した話題という形で、<野生の思考>、すなわち西洋における神話/土着的な風習が描かれてます。言ってみればモース警部の脱線推理のようなものです。そして最終的に<男が女になる病>が判明、というワケです。思い出せませんが。

(20020815)


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