高見広春


●「バトル・ロワイヤル」(太田出版)

西暦1997年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。この国では毎年、全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び、国防上必要な戦闘シミュレーションと称する殺人ゲーム“プログラム”を行なっていた。ゲームはクラス毎に実施、生徒たちは与えられた武器で互いに殺し合い、最後に生き残った一人だけは家に帰ることができる。
香川県城岩町立城岩中学校3年B組の七原秋也ら生徒42人は、夜のうちに修学旅行のバスごと政府に拉致され、高松市沖の小さな島に連行された。催眠ガスによる眠りから覚めた秋也たちに、坂持金発と名乗る政府の役人が、“プログラム”の開始を告げる。

 「ビートたけし殺人事件」でおなじみ太田出版から出たヒット作。分厚い小説ですが、その分厚さから『え? これってもしかしたら夏彦な感じ?と一瞬思うかも知れません。しかし、内容は青春全開殺し合い小説。導入部分を越えたらもう後はただひたすら殺し合い。

 一応主人公は七原秋也ってコトになるのかな。彼を極々ノーマルな人物像に描いて、その周辺に敵味方が配置された構成。それにしても七原秋也、こっちの世界の思考で考え過ぎな気もします。こんな情勢下のパラレル日本に生きていたら、プログラムに対してそれなりの覚悟が出来ていそうなもんですが。うーん、読者をナビゲートする役割という意味もあるから仕方ないのかも。

 ある程度人物の削がれた中盤からが面白い。生徒それぞれに別の武器が与えられるってのも各自の属性(風太郎忍法帖で言えば忍法)を分かりやすく肉付けしてる感じ。

 目下コミック版の連載が続行されていますが、こちらの桐山がオリジナルの持つクールでマシンでターミネーターなイメージを上手く伝えてます。今となっては映画版の安藤くんの方が好きだったりしますが。

 読了直後しばらくはとにかく桐山に惚れ込みまくったのですが、今改めてこの作品を前にして、出てくる言葉と言えば、

 

一緒に死ねる恋人がいる時に死ねるってのは羨ましいですね。

(20020403)


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