菅浩江


●「夜陰譚」(光文社)

夜陰譚/つぐない/蟷螂の月/贈り物/和服継承/白い手/桜湯道成寺/雪音/美人の湯 以上9編収録

 短編集です。菅浩江作品を読んだのはこれが初。怪奇もの、でしょうかね。「桜湯道成寺」あたりに赤江っぽさを感じました。

 「蟷螂の月」が上手いです。語り方の幻想的な感じと、実際のビジョンの激しさ、この二つを一つの描写(文章)で包めているのが素敵です。

 表題作の「夜陰譚」といい、ラストの「美人の湯」といい、この作者は顔にコンプレックス持ってるんじゃないのか?と非常に失礼なコトを考えてしまいました。もっと失礼なコトに、検索で菅浩江の画像を探し、その挙げ句見つけてしまいました。別に普通でした。普通っていうかむしろキリッとしてて骨美人という感じでした。勝手に騙された気分です。

(20021208)


「末枯れの花守り」(角川文庫)

 善悪の構図が明確で、敵味方限らずキャラクターの立て方がコミック的に感じたのですが、もともとスニーカーブックスだったそうで何となく納得。更に最初長編1本だと思ってんですが、全5話からなる連作形式でした。1話読み終えても気付かなかった。

 一番好みだったのが第4話の「山百合」。あたしは皆の言う通りにしてるのにこんなにも不幸、だから世の中が間違っているあたしは間違ってないあたしはいい子です的自己防衛の欺瞞を暴き出す素敵な内容。

 過剰なまでの主体性のなさは、過剰なまでに主体性があるのと同様にムカつきますな。ギリギリまで黙ってて答が出てからやっぱりとか言い出す馬鹿は頭にきます。その辺はもうバランス感覚ですな。アオンの主張にも通じます。

(20021208)


活字中毒記へ

トップへ


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送