ピエール・シニアック


●「ウサギ料理は殺しの味」(中公文庫)

フランスのとある田舎町のレストラン、その食卓に“狩人風ウサギ料理”が供された夜、必ず若い女が殺される。犠牲者のかたわらにはいつも一本の扇が......。T食UとT性Uに異様な情熱を傾ける町の人々を脅かすこの奇妙な謎、そして信じ難い結末。

 訳者が藤田宣永なんですね。それはさておきこの作品、です。もう超変です。訳者のあとがきに「奇想天外な筋立ての中にきちんと謎が仕掛けられていて、充分に計算されて作られている」とありますが、まったくその通りです。海外アニメの目覚ましぐらいもう緻密に計算されています。

※海外アニメの目覚まし...朝になるとニワトリがタマゴを生み、そのタマゴが転がっていって犬の頭に落ち、ビックリした犬がピンと鎖を張って鎖の先にあるガスコンロが捻られ、ヤカンが沸騰してその蒸気で(中略)バケツから主人公の頭に水が落ちて「おはよう」。

 これはバカミス紙一重ですね。いやバカミスそのものかも。「狩人風ウサギ料理」が出されたら若い女が殺される。この謎をまともに解ける読者はいるのか。「まともに」なんて書いたけど思考放棄なオチではありません。むしろ逆です。恐るべしフランスミステリ。ホントに信じ難い結末です。

(20021006)


活字中毒記へ

トップへ


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送