瀬名秀明


「虹の天象儀」(祥伝社文庫)

まるで宇宙船のようにも見える、不思議な形をした星の投影機。四十四年間の使命を終え閉館した東京・渋谷の五島プラネタリウムに、不思議な少年がやって来た。「おじさん、プラネタリウムはどんな時代の星でもつくれるんでしょう? 昔に吸い込まれそうになったことはない?」

 何かしらノスタルジックな気持ちにさせる、心地よい中編という感じです。瀬名秀明も小説/物語るの上手くなったなあと感じます。えーと、瀬名作品読んだのこれが初めてなので、今のはテキトー発言でした。

 これは祥伝社400円文庫の一冊です。400円文庫という表現は安っぽくてマイナスイメージが強そうな気もしますが、瀬名秀明は容れ物に捕らわれずに、質の高い小説をぶつけてきた様子です。400円文庫は当たり外れが大きいかも。倉阪鬼一郎「文字禍の館」はあんまりでした。

 内容なんですが、「タイムトラベル」を扱ってるので、真剣に整合性を考えたらもしかしたらおかしい部分もあるのかも知れません。が、ほんわりと優しい気持ちにさせるストーリーで、不整合性を見つける気にもなりません。

 理系作家というコトもあり、先行イメージとして頭脳に訴える作品を書く人なのかなと思ってたんですが、逆に感情に訴える作品でした。そしてその感情は『優しさ』という素敵ぶり。

(20030123)


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