リチャード・ニーリィ


 折原一が好きな作家として挙げてるコトで有名なリチャード・ニーリィですが、執筆された作品が15作あるにも関わらず、2003年1月現在までに翻訳されたのは5作のみ。僕がこの作家を知ったのは、折原一経由ではなく、「サイコ・スリラー読本」(KKベストセラーズ)にて絶賛されていたためです。

 この「サイコ・スリラー読本」は小説や映画などの様々なサイコ作品を紹介してるもので、当時「沙粧妙子最後の事件」でサイコものにハマって、色々と読み漁っていた自分には非常に重宝しました。そしてこの本の中に、『ニーリィを発掘してくれ!』というコーナーがあってこの作家にとても興味を持ち、以来古本屋で探す作家リストに加えられていました。

 結局復刊もされて最終的には翻訳されているものは5作とも読めましたが、これは確かに面白いと思いました。ただ、日本の新本格系のサプライズエンドなので、綾辻行人や我孫子武丸に慣れ親しんでる今日日の読者には、ひょっとしたらイマイチに感じるかも知れません。


「オイディプスの報酬」(角川文庫)

 定価420円で古本屋価格が1000円。迷いましたが結局買いましたよ。その後角川の3作品が復刊された時はちょっと悔しかったんですが、復刊後の新設定の価格が殆ど変わらないので早く読めた分別に良かったかとも思いました。でも結局これはニーリィ作品では正直イマイチでした。

「殺人症候群」(角川文庫)

 単なるサスペンスで終わらせずに、どこかに本格の騙しを備えてるのがニーリィで、この作品にもそうした大きなどんでん返しが含まれています。ああ、でもやっぱ今日日の読者にはバレバレだろうなコレ。僕でもオチ読めたし。

「心ひき裂かれて」(角川文庫)

 5作品の中で、ホントのラスト、ラスト一行でサプライズエンドを決めてるのはこれ。ニーリィ作品では一番人気ありそうです。折原一もこれが一番好きと語っていました。折原作品のどんでん返しには疑問を持ってる僕ですが、好みには文句を付けません。

「仮面の情事」(新潮文庫)

 新潮文庫では作者の表記がニーリーになってます。今のはどうでもイイ余談です。

 恐らく、ミステリを読み始めた人が『意外なオチ』を考えるとまず出てくるであろうネタです。それだけにニーリィ作品の中では予測しやすいラストですが、一見初心者的なアイデアを小説の体裁として上手く纏め上げています。執筆されたのが1978年というコトも考慮に入れればかなり快挙にも思えます。既に出ていたんだという意味合いも含めて。

 これは映画化されていて(映画タイトル:プラスティック・ナイトメア)、その関係で翻訳されたみたいです。

「日本で別れた女」(HAYAKAWA POKET MISTERY BOOK)

 最初に読んだニーリィ作品というコトもあるのかも知れませんが、僕のニーリィベストがこれ。評判になってたのは決して誇張でも何でもない、確かにこの作家は凄いと感動した覚えがあります。

 手元にあるのは1995年11月3版のものです。当時僕がニーリィを探し出して普通に書店で一番最初にゲット出来たものですが、もしかしたら角川の3作が復刊された今では5作中最も入手困難かも。3版以降出てるのかなあ。「仮面の情事」は古本屋で結構見かけるんですが。

(20030112)


活字中毒記へ

トップへ


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送