フィリップ・マーゴリン


●「氷の男」(ハヤカワ文庫)

つねに沈着冷静で、どんな犯罪者も無罪にすることから“氷の男”の異名をとる辣腕弁護士のナッシュ。だが心の底で彼は、依頼人たちが実は有罪なのではないかという思いに苛まれていた。そんな矢先、同僚の弁護士が婦人警官殺しの容疑で逮捕された。同僚の冤罪を晴らすべく法廷に立ったナッシュを、思いもよらぬ罠が待ち受けていた!

 僕は「海外モノ=読み難い」という印象を持ってるので、得てして未読コーナーに残り易いのが翻訳モノ。そんなワケでこのフィリップ・マ−ゴリンの作品もよく未読コーナーの常連になってます。実際は読んでみるとグイグイ引き込まれる作家なんですが。厚さや紹介されてる登場人物の多さで尻込みしてしまう。

 この「氷の男」は折原一の解説の熱さが有名になった作品です。作品以上に。ホント熱いね。で、その解説に「マ−ゴリンはミステリマインドを持った作家なので、感動的な(泣かせる)ストーリーを求める読者よりは、むしろ、本格推理やサスペンスファンに向いているのかもしれない」とあります。確かにそんな印象。限定された登場人物(必然極力「駒」的扱いとなる)と与えられた情報の中で、可能性がグリグリとひっくり返るストーリー展開など、パズル性が高い。

 法廷シーンでの揚げ足の取り合いなども古畑任三郎的な味わいがあります。マ−ゴリン自身弁護士作家なのでこの辺のディテールはとても小気味イイ。この作品に限らず、法廷シーンが描かれてる作品を読む度に「弁護士は冷静で思慮深い人間じゃなきゃなれないな」と思います。簡単にパニクったり、言葉に対して考え無しに反射的にあまのじゃくな反発してくるガキみたいな人間は逆立ちしても弁護士になんてなれないなあとも思います。

(20010517th)


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