倉阪鬼一郎
●「文字禍の館」(祥伝社文庫)
「文字禍の館」。それは、ある大金持ちの変人が建てたという、一般非公開のテーマパークである。噂では入館したまま消息を絶った者もいるという。オカルト雑誌「グノーシス」編集部の髀塚たち三人は、招待を受けて謎の館を訪ねるが......。
これはちょっとヤバいんじゃないでしょうか。全然恐くなかったしぶっちゃけ手抜きにすら思えました。
序盤で非常に現実離れした空々しいやり取りから始まり、『あヤベ、これくだらなそう』と思ったのですが、それが実は作中作。『流石に今のはないよなあ』と思いほっと一安心して続きを読み進めたら、同じノリ。この400円文庫、古本屋で200円で買いましたが、それでもコストパフォーマンス悪すぎです。
文字そのもので恐怖を演出しようという試みなのですが、フォントを歪めたり同じ文字でページを敷き詰めたりという手法がいちいち手抜きに見えます。
>ホラーってほとんど恐くないってのが僕の印象。どうにでも展開できるので、難しいジャンルだと思います。んで、『恐くない』という感想に対しても作り手は『それは感受性がないから』という逃げ口上があるのが何だかタチが悪い。
上の引用は綾辻行人の「殺人鬼」のトコロで書いた文章ですが、「文字禍の館」も含めてやっぱホラーは合わない気がしてきた。「恐さ」という感覚は、他の感覚/感情以上に最大公約数的な部分が薄く、個人個人の受信に差があり過ぎるのだろうか。僕が恐いなと思った作品は江戸川乱歩「孤島の鬼」や一連のマイケル・スレイド作品で、結局のトコロ超常現象が出てくるホラーではなくサイコものだったりします。
つまり何が言いたいかと言えば、僕は非常に肝の座った度胸の持ち主で頼りがいのある男なので、早く誰か結婚を申し込めというコトです。色白でおっとりした処女希望。
(20021120)
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