プロンジーニ&マルツバーグ


「裁くのは誰か?」(創元推理文庫)

クレアは怯えていた。合衆国大統領として任期終盤を迎えた夫ニコラス。だが、ここにきて支持率が急落、党内には深刻な亀裂が生じていた。「今にも悲劇が起こりそうな、そんな感じがするんです」という秘書の言葉にも、高まる不安を抑えることができない......。やがて合衆国大統領の身辺を襲う連続殺人。

 ビル・プロンジーニ&バリー・N・マルツバーグのユニット作品の一つです。裏表紙の口蓋には、更に『強烈なサスペンスのうちに驚天動地の真相を仕掛ける、技巧派ミステリの極北!』と続いています。

 大統領って大変だなあと感じながら読みました。大統領なので当然諧謔を解せる頭脳の持ち主、それでいてユーモアを理解できないレベルの人間も相手にしなきゃならないのは、確かにストレス溜まりそうです。ネタにマジレスする人間相手にしなきゃならないんですよ、ツラいでしょそれは。まあ、この作品のニコラスはユダヤ人ネタにしてて結構ヤバいかも知れないんですが。

 警備のクリストファー・ジャスティスが素敵です。ミステリ好きなキャラクターです。このジャスティスが作中で某クリスティ作品を手にするんですが、その作品が伏線になってるのかなってないのか、出てきた時気になって仕方なかったです。

 メインのネタにはそれほどの衝撃を感じませんでした。単純に僕の読書史で既にスレイド作品に触れていたからだと思います。超大技ですが、この傾向のオチに免疫がありました。

 このユニットの「嘲笑う闇夜」という作品が「2003年版このミステリーがすごい!」にてバカミス大賞になっています。そこのコメントに『チョンボすれすれの驚愕真相』とあるんですが、どうやらそれにも「裁くのは誰か?」的な大技が仕掛けられていそうですね。ていうか今なら「裁くのは誰か?」もバカミスにカテゴライズされる内容の作品だと思います。

(20030114)


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