ミステリー文学資料館編「幻の探偵雑誌」(光文社文庫)


「幻の探偵雑誌2 『探偵趣味』傑作選」

横溝正史「素敵なステッキの話」/角田喜久男「豆菊」/XYZ(大下宇陀児)「老婆三態」/城昌幸「墓穴」/水谷準「恋人を喰べる話」/春日野緑「浮気封じ」/山下利三郎「流転」/橋本五郎「自殺を買う話」/久山秀子「隼お手伝い」/本田緒生「ローマンス」/小流智尼(一条栄子)「無用の犯罪」/夢野久作「いなか、の、じけん」/地味井平造「煙突奇談」/織田清七(小栗虫太郎)「或る検事の遺書」/土呂八郎「手摺の理」/龍悠吉「怪人」/オン・ワタナベ(渡辺温)「兵士と女優」/長谷川伸「戯曲 谷音巡査(一幕)」/牧逸馬「助五郎余罪」/小酒井不木「段梯子の恐怖」/甲賀三郎「嵐と砂金の因果率」/江戸川乱歩「木馬は廻る」 以上23編収録

 読んでこそのエンターテインメントと考えてる自分ですが、古本コレクターの気持ちも理解できます。陶器や絵画を集めるかのように、古本そのものへの愛と考えれば納得出来ます。対象がたまたま本だったというコトで。娯楽雑誌として発売されたものですが、「読む」だけではない部分での骨董品として収集対象となっている感じで。

 そんな雑誌が幾つかあって、それをこの「幻の探偵小説」シリーズにて再編発行。もう編者の趣味でやってる感じがしますが、その辺は好感を持てます。「蘇る探偵雑誌」なる別シリーズも続投されてるしニーズも結構あったんだと思います。

 装丁、特に表紙の懐古趣味が好きです。収録されてる作品の内容に関しては今日日のエンターテインメント慣れしてる自分には流石に古さを感じましたが、当時の熱さなど時代の空気を感じる意味合いでは興味深く読めました。

(20030118)


「幻の探偵雑誌6 『猟奇』傑作選」

夢野久作「瓶詰の地獄」/本田緒生「拾った遺書」/角田喜久男「和田ホルムス君」/平林タイ子「ビラの犯人」/小舟勝二「扉は語らず(又はニ直線の延長に就いて)」/津志馬宗鷹「黄昏冒険」/長谷川修二「きゃくちゃ」/山口海旋風「雪花殉情記」/岡戸武平「下駄」/一条栄子「ペティ・アムボス」/山下利三郎「朱色の祭壇」/城昌幸「死人に口なし」/岸虹岐「吹雪の夜半の惨劇」/西田政治「肢に殺された話」/山本禾太郎「仙人掌の花」 以上15編収録

 と、作品15編が収録されているのですが、他に【コラム『猟奇』】なるものも3回に分けて収録。このコラムがクソ面白い。これは外せないという編者の判断に共感します。罵倒全開です。大型掲示板の書き込みを思わせる好き放題発言連発で、よくこんなコラム載せてたなと思わせます。

(20030118)


「幻の探偵雑誌7 『新趣味』傑作選」

甲賀三郎「真珠塔の秘密」/角田喜久男「毛皮の外套を着た男」/山二郎「噂と真相」/あわぢ生(本多緒生)「美の誘惑」/山下利三郎「誘拐者」/呑海翁「血染のバット」/蜘蛛手緑「国貞画夫婦刷鷺娘」/石川大策「ベルの怪異」/イー・ドニ・ムニエ(国枝史郎)「沙漠の古都」 以上10編収録

 特に印象深いのが、最後の「沙漠の古都」。滅茶苦茶うさん臭い冒険小説ですが、当時は楽しく読まれていたんだろうなあ。この感覚については、以前も海野十三で書いてますが。

(20030118)


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