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●2002年ベスト●

 毎年自分的ベストを決めるコトにします。去年から今年にまたがる3週間ほど更新停止していたので、新年1月、しかもすでに半ばの今やるのは非常にタイミングが悪いんですが、毎年だいたいこのぐらいの時期に前の年の総括をします。

 毎年なんて書きましたが、このサイト何年やるつもりなんでしょうか自分。もちろん10年です。島袋光年先生の「たけしあと10年やるぞ〜!!」と同様の意味で。


●活字部門●

5位
森博嗣「捩れ屋敷の利鈍」
(講談社ノベルス)

『その頃には、引退してるよ』

 10作に渡るVシリーズ、後半一気に2002年内に読みましたが、7作目のこれが素敵。てことはレンムもシコも僕には不要だったというコトです。これ単品でも体裁は整っているし、何より正解が語られない真相にニヤついてこその1作。このシリーズで一番語りたいであろうトコロをそっと伏せておく森博嗣の手口が憎いです。

 

4位
殊能将之「鏡の中は日曜日」
(講談社ノベルス)

『彼の人間観察は犯罪心理という低い線で停止して、その線から先の無限の迷路へさまようことがないように、組み立てられているらしい。...だから奴には文学は書けない』

 2作目3作目にて「衒学」「本格ミステリの論理(名探偵)」を笑った殊能の当4作目は、「(本格の)信者」を笑ってる感じがします。文学は他のエンターテインメントよりも優れている、だから文学者の私は優れている。そんな登場人物に、本格を至上のものとして他の小説を読む人よりも自分は上と優越感に浸ってる層の痛さが見え隠れ。コアなファンによるイメージの押し付けがもたらす危険性。SFがそうであったように、本格というジャンルを殺すのは本格ファンだ。

 

3位
マイケル・スレイド「髑髏島の惨劇」
(文春文庫)

『このバケモノ屋敷に仕掛けを設置した人物は、相当に奸知に長けている』

 相変わらずのキチガイ風味。ていうかキチガイそのもの。旧作の探偵役が身体障害者になって再登場してるのも凄い。レギュラーキャラだろうと何が起こるか分からない作家です。帯のジョン・ディクスン・カーの正統後継者は余計。カーって書きゃ売れそうだろうけど、カーらしさがあるにしても機械トリックというダメな部分。

 

2位
土屋賢二「棚から哲学」
(文春文庫)

『週刊文春の名を知らない人はいるかもしれないが、そこに連載されているコラム「棚から哲学」の名をしらない人は、世界広しと言えど、地球上の砂粒の数ぐらいしかいない』

 土屋賢二は軽く流すと気付かない(普通の文章だと思ってしまう)、そんな笑いがひっきりなしに詰まっている異様な密度の文章を書きます。ツッコミやテロップがないとどこで笑っていいか分からないタイプの人には、きっと楽しめないであろう文章です。この人は、凄すぎ。字数単位で原稿料が決まってるのなら、不幸としか言い様がない密度。読み手にしてみりゃありがたいの一言ですが。

 

1位
半村良「完本妖星伝」
(祥伝社文庫/全3巻)

『しかし現在は過去になる寸前まで、未定のものだ。このことは意識の連続性という問題に関連している』

 結果的に読了に数年かかってしまいましたが、つまらないからではなく、厚すぎて持ち運べなかったからです。全3冊、主人公不在の超大河。小説/漫画などジャンルを問わず後世の様々な作品に与えた影響は測り知れない1作です。どこを切ってもエンターテインメント。怒濤の展開にひたすら翻弄されるのみ。


●漫画部門●

5位
冨樫義博「HUNTER×HUNTER」
(集英社)

『こ...こいつらこの短期間に どれだけ成長したんだ!?』

 相変わらず冨樫漫画は面白いです。結局1年通してG.I.編でしたが。1回分に織り込むネタを薄めて数回分にすれば毎週掲載も夢でない。薄めても並の漫画より密度ありそうですし。枚数単位での原稿料だろうからやればいいんだけど、金よりも時間が欲しいのかなあ。ていうか金余ってるか。

 

4位
荒木飛呂彦「ダイヤモンドは砕けない」
(集英社「ジョジョの奇妙な冒険29〜47巻」)

『バイツァ・ダストは無敵だ! そしてこの吉良吉影に運は味方してくれているッ!』

 2002年はジョジョのレビューに伴い全巻再読したのですが、この「ダイヤモンドは砕けない」こと4部が好きになりました。特に吉良吉影との45〜48巻に渡る最終戦、更に言えば前半の45巻が秀逸。「バイツァ・ダスト」というスタンド能力の誕生も、攻撃よりも自分を守るコトを優先する吉良の生き方に見事にリンクしてます。

 

3位
萩尾望都「半神」
(小学館文庫「半神」収録)

『わたしの半身はあのとき死んでしまったの......?』

 萩尾版「アルジャーノン」とも感じるこの「半神」、短編でありながら並の長編よりも多くの残留があります。特異な立ち場に感情移入させ、特殊な切なさを理解させる力量に感服。少年漫画慣れしてる自分には、少女漫画用のコマ割りや台詞といったフォーマット自体を脳内に新設する必要がありましたが。

 

2位
車田正美「ビート・エックス」
(ホーム社漫画文庫/全8巻)

『その程度の皮相的な知識なら私はすでに七歳の時にマスターしている とても神の解答とは思えない』

 車田漫画、知名度やセールス的には「聖闘士星矢」がダントツでしょうが、完成度とアイデアの密度においてはこの「ビート・エックス」がベスト。特に七魔将ラスト2人から最終戦まではテンションが果てしなく上昇していく奇跡的な展開を見せます。

 

1位
梅澤春人「SWORD BREAKER」
(集英社)

『これが人間の......温もり......だよ...』

 ストーリーよりもキャラクターよりも、もう話題性のみでの1位です。作者が狙ってない部分で大ブレイク。2002年終盤のコミックシーンを駆け抜けた1作。連載当初は単なるありふれた打ち切り予定作品にしか見えませんでしたが、魔城ガッデム、グルトニー登場あたりから違う意味で注目度が高まり、最終回を迎える頃に至っては愛すべき打ち切り作品になっていました。


●2002年総括●

 前の年/2001年よりも小説は読んだんですが、あまり読んだ気がしないのは何故だろう。印象に残ってるのが少ないというコトだろうか。そういえば氷川透がホームページを開設しましたね。スズキサリナって喋らないと美人ですよね。

 漫画ではバキの低迷が続行中。ヤンチャンでの特別編など話題はあったのですが、本編がまるで進展しないままです。ってこれは別に2002年に始まったコトじゃないんですが(ドリアンが徳川邸に乱入した頃からです)。そうそうチャンピオンは相変わらず立ち読み基本ですが、ジャンプは買うようになりました。

 その他では、アイドルで平田裕香にハマるのを開始した年です。


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