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11月29日(金)☆

 明日は更新休みます。単なるサボりです。

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東野圭吾「探偵ガリレオ」(文春文庫)

突然、燃え上がった若者の頭、心臓だけ腐った男の死体、池に浮かんだデスマスク、幽体離脱した少年......警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。

燃える/転写る/壊死る/爆ぜる/離脱る 以上5編収録

 森博嗣の作品は理系ミステリと言われていたのですが、実際読んでみれば理系知識を要求しないものになってます。理系ミステリという言葉から思い浮かべるミステリ、それに相当する形式を持ってるのがこの作品です。

 雑学的な化学反応などの小ネタをトリックに使ってみよう、人殺しで表現してみようという感じで、そうしたちょっとしたネタを物語に纏めあげる手腕は流石です。ベテランのベテランたる部分を感じました。正直、理系知識のない自分なので、トリック部分は解決パートを読むまで分からなかったのですが、きちんと伏線を張ってたりと、ミステリの容れ物から外れてないあたりに堅実な小説作法を感じます。

 解説が佐野史郎。探偵役である湯川学のモデルになってるそうです。特命リサーチがルーツかと思ったのですが、映画で佐野史郎が探偵役を演じていたのがルーツだそうです。佐野史郎の解説、無理矢理ジャプリゾを引き合いに出して推理小説の解説らしくしようとしてるのが微笑ましくて好感触。


11月28日(木)☆

 梨木香歩「西の魔女が死んだ」読了。

 バキの単行本2冊&週刊連載分感想でバキ漬くしな本日です。

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今週のバキ感想

 ぶっ飛ばされた先でこっそり釘を引き抜くシコルス。相変わらずセコいコトやってます。もうダメじゃん。その釘をジャックの顔面目掛けて飛ばすも、歯で受け止められ噛みまくってペッ。丸められた釘に呆然とするシコルス。歯が健在だったのが分かりました。これは確かに呆然とします。シコルス、釘攻撃の前にもステッキを槍にして腹を刺そうとして腹筋でとめられています。

 ジャック、この漫画をエスカレートさせ過ぎです。今どの辺でしょうか。恐らく、ベジータとナッパが来襲した辺りなのかなあ。

 ラストでジャックと入れ代わりにガイア登場。妙な笑顔で登場。何が嬉しいんだよ。懐かしキャラ登場!ってのはインパクトあるんだけど、ちゃんと話に組み込めるのかが不安です。レベルEのバカ王子の言葉に「みんながビックリするだろうと思って」「他の事はあんまり...」ってのがあるんですが、板垣氏大丈夫でしょうか。

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板垣恵介「バキ」15巻

 前半はドイルVS神心会決着までを収録。

 ドイルというキャラクターを通して描かれる内容が、いつの間にか弱いクセに意地っ張りで絶対負けを認めないヤツをどう屈服させるか、というものになっています。最凶死刑囚使って描くネタじゃないんですが、まあこれもある意味最凶だからイイか。

 弱くても負けを認めない、というのはこの作品でも『心が折れない』という表現でプラスな要素として描かれてきたコトが多いのですが、それを徹底させて作中で敵役の思想にしてみる。作者が自分の考えにアンチテーゼを設けて、それをアウフヘーベンさせたような感じがします。もしくは自分の思想を敵視してみて、それを打ち破るコトが出来るかという挑戦。

 ドイルというキャラクターは、武器集大成から始まり、何故か最後は『北風と太陽』のような話に落ち着きました。

 後半は柳とステージアップバキとの戦い。柳の空道の師/マスター国松が柳の天才ぶりを語ります。その柳がバキに一方的にやられます。持ち上げて落とすってのは最大トーナメント1回戦でよくあった手法です。毒手を試すため花を摘む柳ですが擬音がサモ...ってのが面白い。鞭打を実演する国松がフニャっとなってる絵はちょっとヤバいです。

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板垣恵介「バキ特別編 SAGA(性)」

 ヤンチャンで連載された4回分とその前後に関わる週チャン本編2回分、及びバキシリーズの軽い解説が収録。プロローグはまあイイとしてエピローグに柳戦入れるのは微妙。1冊の本にする為には仕方ないのか。同時発売の15巻と重複してるし。

 連載時はモチーフのセンセーショナルっぷりで盛り上がってた感じなんですが、今こうして単行本に纏まったのを読んでみると、本当にただのお祭り企画だったような虚無が漂います。

 やりたい妄想に取り付かれた主人公/バキですが、そのキャラクターの思いが板垣氏に描きたい妄想を伝播させた結果生まれたんじゃないのかと思える作品です。次は、やって一安心、倦怠期モードのバキの思いが伝播すると思います。3〜4年もしたら。

 モチーフとは裏腹に、エロ本的な発想で描かれた作品ではないので、梢江の可愛くなさは効果的だと思う。効果的というか、結果オーライというか。需要として求められる2次元の可愛い女の子を描けない(決して描かないではなく)板垣氏の画力でも、このネタは充分表現できた範疇でした。いや皮肉じゃなしに。「大好きな異性」、その記号として置き換えて見ればイイ。読み手にかなり高度な置き換えを要求しますが。

 この頃は板垣描写で心理の瞬間的な断片をひたすら書くってのが流行ってたのを思い出しました。テンパってる感じの表現です。

 当然と言えば当然なんですが、全体的に男視点になってますね。男視点よりも更に狭まった板垣視点もあります。先に果てたら負け、という考えなんか。


11月27日(水)☆

 近藤史恵「凍える島」読了。

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トマス・ハリス「羊たちの沈黙」(新潮文庫)

若い女性を殺してはその皮膚を剥ぎとる連続殺人犯“バッファロゥ・ビル”。FBIは懸命に犯人を追うが、捜査は完全に手詰まりになっていた。事態を打開すべく新たに任命されたのが女性訓練生スターリング。彼女は九人の患者を殺害して収監されている元精神科医レクター博士の示唆をもとに見えざる殺人犯の影に迫るが......。

 FBI訓練生クラリス・スターリングVS連続殺人犯バッファロゥ・ビル。

 前作「レッド・ドラゴン」同様『追う者VS追われる者』の構図になっていますが、前作が殺人鬼が主人公だったのに対して、こちらはFBI側のクラリスが主人公という形です。

 「レッド・ドラゴン」で殺人鬼を追っていたグレアムが、殺人者の心理を理解できる素質を持つ、ある種天才肌の捜査官なのに対して、クラリスは極めて一般的な、平均的な「追う者」という感じです。プロファイリングという統計学問を駆使しての捜査で、後天的な、学習して得た力で追跡する辺りもそんな印象を持ちます。

 後半には三部作ラストに向けてレクターを野放しにする演出があります。この脱獄シーンや幾度か行なわれるクラリスとの面談などのインパクトが強く、「羊たちの沈黙」と言えばレクターばかりが取り上げられている感じ。

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トマス・ハリス「ハンニバル」(上・下/新潮文庫)

あの血みどろの逃亡劇から7年---。FBI特別捜査官となったクラリスは、麻薬組織との銃撃戦をめぐって司法省やマスコミから糾弾され、窮地に立たされる。そこに届いた藤色の封筒。しなやかな手書きの文字は、追伸にこう記していた。「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」......。だが、欧州で安穏な生活を送るこの差出人には、仮借なき復讐の策謀が迫っていた。

※以下、ネタバレを含みます。

 『世紀はかくも壮絶に幕を閉じる』という帯が今尚記憶に残るレクター三部作ファイナル「ハンニバル」です。発売時には凄まじい平積み状態だったのも印象的ですな。んで、内容なんですが、これは非常に期待外れな作品でした。

 1作目ではグレアムVSダラハイド、2作目ではクラリスVSバッファロゥ・ビル、そしていよいよクロフォードVSレクターだろうと考えていたのでまずそこでコケました。最終的にもレクター勝利というラストに着地したりと、こういった方向に持ってくるとは思ってませんでした。

 『完全無欠なレクターがどんな敗北を見せるか』、読者が想定するこの枠の中で予想外の展開を見せて欲しかった。枠自体をとっぱらっての裏切りは、何というか、例えるならミステリだと思ってたらホラーだったような、釈然としないものが残りますな。

 「レッド・ドラゴン」でグレアムが捜査官(法的/社会的に正義)、ダラハイドが殺人鬼(法的/社会的に悪)というポジションを取り、そしてレクターはダラハイドに近い立ち場にいながらも実際は善悪を超越した存在になっている。そんな善悪を超えた存在が最終的に着地するのが、愛。超人も結局そこに落ち着くしかないのかなあ。レクター勝利の物語ですが、それでいて全体的にレクターの行動原理が一般的になり、ちゃっちくなった気がしてそこもイヤでした。

 「羊たちの沈黙」以降色々なサイコものが書かれ、様々なレクターのフォロワーキャラクターが生まれ、ありとあらゆるラストを向かえてきたため、ネタ的に困ったのかも知れませんが。

 というワケで、今心配なのは、トマス・ハリスファンであると思われる板垣恵介が、この作品に感化されて、「バキ」を範馬勇次郎が息子に勝利して終わりなんてラストにしたらどうしようというコトです。予想は裏切ってるけど期待にも応えていない感じ。枠内で裏切ってくれ。


11月26日(火)☆

 山田風太郎「剣鬼喇嘛仏(講談社ノベルス版)」読了。最近空腹が読書の敵になってます。イイ調子で読み進んでても腹減って気が散ります。

 サブラに那由多遥インタビューが載ってたので立ち読みしたんですが、かなり面白かったです。狙ってないんだろうけど、出だしの「最近ちゃんとした水着着てないんですよ」から面白いし。今までの写真集親に隠してたなんてのもヒット。

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藤子・F・不二雄「のび太と鉄人兵団」

 ドラえもんはいつでも入れるしいつでも出ていける漫画ですな。物凄い久々に読んでみました。

 短編SFは、形式の面で「何か発明→その発明がエスカレート→問題が起こる→解決してやっぱ最初(自然)が一番」と、極めてマンネリです(マンネリとは悪い意味だけではなく、老若男女誰でも安心して付き合える側面も持っています)。結局のトコロ、各作品のオリジナリティを出す要素は「何か発明」、この部分のネタ/アイデア次第で決定します。短編ドラえもんはダイレクトにそれが見て取れる作品です。

 一方の長編ドラえもんはどうなってるかといえば、冒険ものとしての色合いが強まってます。そして、物語の主役はドラえもんでものび太でもなく、舞台そのものにあてられています。短編で使われてる道具(SF的なギミック)なんかもレギュラーキャラなんかも脇役。

 地球に攻め入るロボットとそれに対抗するドラえもん達の戦い。子供向けに平易な表現で描かれていますが、一つ一つのネタを疑似科学用語で装飾したり、戦いの駆け引きパートの見せ方/隠し方を変えたりすれば、極々一般的なSF作品に出来ます。

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藤子・F・不二雄「のび太と竜の騎士」

 絶滅を逃れ地底で進化を続けた恐竜人が地上進行計画を立てている、これを知ったのび太達が進行を阻止すべく戦うストーリー。

 話の都合でスネ夫が恐竜やUMAについて滅茶苦茶詳しいのがヒット。年号とか言ってるし。こんなの藤子・F・不二雄自身さえ何か資料うつしただろとしか思えない程の詳しさ。

 文明が地底で進化したらどうなるかのシミュレーションがイイ感じ。排気ガスは出せないので馬車止まりな一方、磁気を利用した移動手段が発明されている、等。

 恐竜絶滅の謎もここでは一つの説が採用されています。よく言われる巨大彗星衝突説なんですが、それが具体的に地上にどう影響するか僕よく知らなかったので楽しめました。

 終盤で武田鉄矢の作詞がいきなり挿入されるのには面喰らいました。映画ではテーマ曲だったのかな。テーマ曲でも何でもなくまるで無関係な曲ならかなり面白いんですが。


11月25日(月)☆

 WJ52号感想。

テニスの王子様

 背後から海堂に無言で青酢を差し出す乾が面白かった。トーンが効果的です。直後がベタ過ぎで台無しですが。

 乾の「理屈じゃない」って4コマ漫画はあまり面白くありませんでした。ギャグ漫画として致命的だと思います。

ワンピース

 ようやく空島史を絡めての勢力関係がはっきりしました。どうにかまとめれて尾田先生も一安心してるんじゃないでしょうか。しばらくはバトルに打ち込めそうです。でもエネルはまだ謎ですな。「どこぞの空島から」やってきたとしか分かってない感じ。大人しく一人ごっつやってればいいものを。

アイシールド21

桜庭ファン:「ひどすぎ!」「最悪---」「何すんのよ桜庭君に---!!」

ヒル魔:「おうおう良く吠える 無視しろ フィールドに入るバカが悪い」

 桜庭が最後の最後まで悲惨な役でした。ヒル魔の返答、同人やおい二次創作キャラいじり読者はいらないとも読めます。うがち過ぎな読み方ですが。

 進は現状に甘んじることなく自己に厳しく向上心が激しいので、今回のラストはライバルを育てる結果になりそうです。

ヒカルの碁

 作者コメントのトコロにある作品の顔的な絵、これヒカルなんですが、今改めて見ると赤ちゃんみたいです。

ブリーチ

 割れた仮面を最後まで頭に載っけてるんですが、今後そういうアクセサリーにするつもりなんでしょうか。カッコイイって言うでしょう、ルフィあたりなら。

いちご100%

 4人目の女の子がようやく登場。このまま打ち切られていたら黒川先生の下の名前が南になるトコロでした。真中の台詞から、この女の子も逆にきっと失恋直後なんでしょうね。

ハンター×ハンター

 「敵にパスしちゃいけないなんてルールはないぜ?」ってのが一瞬分からなかったのですが、そうかゴレイヌは外野でしたな。

 衣服が削れてアウトになるビスケ。ビスケならもし幾らはだけても嬉しくないですね。実年齢があれなので。

ストーンオーシャン

「殴られて『裏返る』っていうんなら...もう一撃 あえて打たせてさらに裏返ればいい」

 それでイイのか。コインを二度裏返す、ってのじゃなくゼンマイを二回転させる感じの能力に見えるんですけど。徐倫のこの対処法でどうにかなってるので結果オーライです。荒木流の詭弁に騙されてる。

 この敵はスタンド単体じゃなくプッチが纏ってるんじゃないのかという気もしてきた。既にディオと分離してて。その辺は荒木氏の連載進行中の瞬発的な気分で決まるんでしょうが。

 最後のアオリの『不完全無欠』ってのは無理な言葉遊びです。ジャンボ小枝。っていうかポーズがヤバ過ぎです。何その右手の位置。


11月24日(日)☆

 瀬名秀明「虹の天象儀」読了。

 ここ1週間ほどブラウザのお気に入りの大整理に取りかかっていました。全く観なくなったサイトもあるので。お気に入りに追加した時から比べて方向性が変化したトコロ、つまり主観で言えば、つまらなくなったサイトを外しました。

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連城三紀彦「年上の女」(中公文庫)

ひとり夜/年上の女/夜行列車/男女の幾何学/花裏/ガラス模様/時の香り/七年の嘘/花言葉/砂のあと 以上10編収録

 連城作品は心理の不明瞭さを小説として上手く使ってるものが多いです。ある行動に対しての心理的な意味合い、どんな考えからそんな行動をとったのか、これが、最初に読者が想像する意味合いと正反対の意味合いに翻る瞬間が上手いです。

 最初に想像するってのも作者がそう思わせる流れを確信犯的に作っているのですが、そこが非常に上手いです。

 山田風太郎作品も、人の心が翻るオチを最後に設けるものが多く、僕がこの二人の作家を好きなのはその辺の逆転の鮮やかさに惚れ込んでるからじゃないかなあ、とふと思った。小説はハッタリですが、そのハッタリをどれだけ自然に語れるかが作家の力量です。

 この短編集ではとりわけ「男女の幾何学」が連城節全開。僅かな登場人物で幾度も関係図が塗り替えされる手際は流石。著者の長編「恋」が一番印象としては近いです。

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那由多遥「ULTIMATE HEROINS/究極乙女Vol.01」(SANWA MOOK)

 ヒロインズと複数形なのが気にかかっていたのですが、これはどうやら究極乙女なるシリーズものの様子。「月刊○○」みたいなノリで刊行されるのかな。

 ボンデージ全開の表紙です。那由多遥の文字がなければ誰だか分かりませんでした。分からなくてもこの表紙を書店で見かけたら手にしていたと思いますが。

 中身なんですが、まず普段通りの水着/カジュアル/フォーマルなショット、この辺はもちろんあるのですが、「チャプター04:ホワイト&ブラック/ライト&シャドウ」が素敵すぎます。教会を舞台に白ボンデージと黒ボンデージ、二通りのコスチュームでの那由多遥のお姿が拝めます。

 那由多遥と言えばノーブラ、ふわふわプリンなお乳が代名詞なんですが、今回は下半身をどれだけいやらしく見せるかに挑戦しているかのようです。いつになく股間に磨きがかかってます。実際エフェクトで光らせてるのもあるし。股間メインの一冊ですね。股間をどう強調するか。股間への追求。水着で露骨に股間を割ったりしてますし。股間への情熱とでも言いましょうか。あの、僕さっきから股間股間言い過ぎでしょうかね。

 白ボンデージで気に入ったのは、膝を地に着け祈りを捧げてるショット。これだけ書くと、純粋にピュアさを前面に出した聖女的、天使的なショットと思うかもしれませんが、脚をガッツリ開いてるのが超エロい。Tフロント超エロい。こっちが手を合わせて拝みたくなります。

 拘束衣にも見える白ボンデージ、露出させてる肌がエロい。どこをどう出せばエゲつないエロさを伝えられるか考え抜かれた衣装です。デザインした人は本物の変態だと思います。

 黒ボンデージ装着時は、白とのキャラクター分けを強調する為にケバい化粧をしているのが多く、ちょっと僕の嗜好から離れてて残念ですが、Tフロントの面積が一層狭まってる上に開脚ぶりも激しくなってて白熱です。Tフロントのピアスからチェーンを延ばしてるのがクソエロい。チェーンを自分で引っ張り挙げてるのですが、出来ればダラリと垂れ下げてるショットも見たかった。

 というワケで、ファースト写真集から確実にエスカレートを続ける那由多遥の現時点でのベストに思える1冊。これ以上のエロさの追求はもう無理なんじゃないのか不安になります。ピュアからエロカッコイイへと変遷しています。早く僕と結婚して下さい。


11月23日(土)☆

 ブロンジーニ&マルツバーグ「裁くのは誰か?」読了。

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北村薫「謎物語」(中公文庫)

物語や謎を感じる力は、神が人間だけに与えてくれた大切な宝物。名探偵も、しゃべるウサギも、実は同じものなのかもしれない---博覧強記で知られる著者が、ミステリ、落語、手品など、読書とその周辺のことどもについて語り起こした初めてのエッセイ。

 ミステリに限らず、様々な作品への接し方、北村薫観を綴っているものです。「作品」というものに対する優しさ/愛情に満ちた内容になってます。著者の懐の広さを感じます。

>ミステリ新人賞への応募は多い。これがミステリ・コミック新人賞なら、応募する人は限られるだろう。コミックなら、自分の描く画面が、素人でも、駄目なら駄目と自分で納得できる。しかし、海の絵は描けないという人でも、《海》という一字は書ける。(P113)

 ここで感じたのは、客観力の有無に関するコト。文字という記号なんざは誰でも書けるから、それを紡いだ文章ってのはパッと見では良し悪しが分からない。自己に対して客観力を持ってないと、才能のなさに気付かずダラダラ小説家志望を続ける危険性を秘めてます。

 あと、関連して思い出したコトに、これは山口雅也の言葉と記憶してるんですが、「クリエイティブな仕事につきたい人はまず漫画家を目指し、挫折して次に音楽に走り、最後には小説家になる」って内容の発言がありました。小説家ってのは最後の最後、妥協に妥協を重ねた底辺。もちろん山口雅也が小説家だから許せる発言で、こんなコト許斐剛が言ったら暗殺です。

 このクリエイターのヒエラルキー、非常に失礼なランク付けなんですが、もっと失礼なのは、僕がまったくその通りだと考えてるコトです。表現する為に必要な技能の差が明らか。ヒエラルキーが下るとどんどん発信者側の表現力が縮小していく。その表現力の縮小は表現対象の不明瞭さを生むのですが、それが以下のように逆にメリットにもなる。

>作品は楽譜に当たるもので、それを演奏するのが読者である。読書は決して受け身の作業ではない。百人の読者がいれば、そこには百の作品が生まれる。名曲を弾くように、我々は名作を読む。
ただし、ここが微妙なところなのだが---そう弾いては演奏にならない、という線がある。それは創造において、優れたものと、無価値なものが歴然としてある、ということに外ならない。(P204)

 評論、というものに対する北村薫の考え方で、非常に優しい心構えです。作者の意図を超えた解釈は、それ自体が新しい作品になる。楽譜や演奏という例えが適切で素敵。映画化、なんてのもこれに該当しますな。監督の解釈/創造。

 ちなみに清涼院流水はこの考え方を逆手にとった自己弁護を講じているのでムカつきます。何も意図してないんだけど、とにかくそこから何か見い出してオレを誉めるように解釈しろ、というスタンスが見え隠れしてぶっ殺したくなります。

 評論に限らず、小説そのものでも既存の事柄を新解釈してるものがあります。高田崇史「QED百人一首の呪」なんかがいい例。


11月22日(金)☆

 山田風太郎「天国荘奇譚」「くノ一紅騎兵」読了。本日の購入漫画。

藤子・F・不二雄「のび太と鉄人兵団」(小学館コロコロ文庫)
藤子・F・不二雄「のび太と竜の騎士」(小学館コロコロ文庫)

那由多遥「ULTIMATE HEROINS/究極乙女Vol.01」(SANWA MOOK)

 ドラえもんです。ドラえもん来ました。出来心です。

 んで、那由多遥のムックは凄いです。前情報まるでナシだったので意表を衝かれましたよ。こう来たか。こう来られましたか。まだちらっとしか見てませんが、メチャクチャ僕好みの格好してます。今日寝れるかなあ。後日じっくり語ります。

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 最近の新刊模様を見ると、僕的には「エンディミオンの覚醒」がとうとう文庫落ちしたってのが最大のニュースでしょうか。ハードカバー持ってるんですが、文庫落ちする前に読み終えるコトが遂に出来ませんでした。負けです。残り3分の1なんですが。

 法月綸太郎「密閉教室」のノーカット版てのが出てました。帯に、長過ぎるといって削らせた編集者は正しかったのか、なんて感じの挑発的な文章がありましたが、まえがきを読むと、当時無駄を削るコトで文章修業となって非常に感謝してるという法月の言葉が(決して皮肉でない感じで)ありました。それでも出すのは、お金が欲しいからという本音っぷりが好感度アップ。「密閉教室」は、質の高い法月作品の中で唯一の駄作と思ってるので買いませんが。ハードカバーだし。


11月21日(木)☆

 何か非常にロックなリンク集見つけちゃった。URL見れば何のリンク集かわかると思うけど。

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今週の餓狼伝感想

 藤巻の長田への決別発言。自分という存在を気負いにするな、好きなようにプロレスをやれ、言葉の裏にはこんな感じの本音が込められてるのでしょうが、ストレートに言わないトコロに燃えます。前時代的なカッコ良さです。言葉を額面通りに受け止めいちいち激昂する梶原がバカ役です。この人はいつからこんなバカになったのでしょうか。

 一方、藤巻と短い期間ながらも特訓に共に時間を費やした長田は、藤巻の思いを理解して返答してる、そんな感じですかね。ひょっとしたら単純に事務的に答えてるだけかも知れませんが。

 後半はいよいよ大会開始。次回で発表されるであろうカードが楽しみです。

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今週のバキ感想

 もし脱獄したらどうなるかなあ。

 まず脱獄したらオレでも流石にシベリアンブリザードをそのまま突っ切るコトなんて出来ないから、途中でガーレンの小屋に立ち寄るコトになるだろうなあ、そしたら当然1戦交えるコトになるだろうし、あいつを東京で破ったジャックとか言う男に付いても聞かされるんだろうなあ、きっとオレのコトだから、その話聞いたらジャックってヤツに興味持って東京に行ってみたくなるんだろうなあ、東京に上陸したらその大会の主催者の元に駆け付けるんだろうなあ、その主催者もただ者ではないだろうから格闘家の一人や二人侍らせてるだろうし、そうしたらそこでそいつらとも闘うコトになるんだろうなあ、根に持つヤツがいるだろうし、直後に部下連れてリベンジに来てそれをオレが返り打ちにするんだろうなあ、んで、ジャックの父親の地上最強の生物に息子の女を攫えと言われて、オレのコトだから取り敢えず言う通りにするんだろうなあ、ジャックには弟がいるらしいし、その女って弟の彼女かも知れないなあ、そして弟の反撃喰らってうっかりダウンしちゃうかもしれないなあ、東京は恐いトコロだから黒人とかがいきなり乱入してきてオレを病院に連れてくかもなあ、病院抜け出してジャックを探してたらまた弟を見つけちゃうかも知れないなあ、んで、やっぱ血が騒いでその場に乱入しちゃうんだろうなあ、んで弟、ちゃんと闘わずに逃げるかも知れないなあ、それでまたうろうろするコトになって今度はようやくジャックに会えるかも知れないなあ、根に持ってるヤツも共謀してオレを捕獲するかも知れないなあ、捕獲したらきっとガーレンが闘った大会の場所に運ばれるんだろうなあ、そこでオレ猛ラッシュかますけど、ジャックに掴まれて思いっきり投げくらうんだろうなあ。脱獄したらオレ多分こうなるんじゃないかと予想してるんですけど。

「予想通り...まさに予想通りだ」

 

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