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11月20日(水)☆

《更新履歴》...リンクに「右心室」追加。

 何気に現在の運営体制になって一周年です。去年の11/20から今のフォーマットでやり始めたんですなあ。去年の5月にここのレンタルサーバを借りつつも半年まともに運行せず、自分も含めて誰も観てなかった為、カウンタが動かず2度表示停止になったコトもありました。

 一年続けて気付いたのは、書いても書いても書き足りない感じが拭えないというコト。恐らく、この気持ちはずっと続くんじゃないかと思います。永遠に満足しない、たとえ色々なものを身に付けても未熟感は常に付きまとう、それが分かっただけでも良かったと思います。

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歌野晶午「館という名の楽園で」(祥伝社文庫)

「奇妙な事件は、奇妙な構造の館で起こるのが定説です」三星館と名づけられた西洋館の主は、四人の招待客にある提案をした。それぞれが殺人者、被害者、探偵役になって行なう〈殺人トリック・ゲーム〉である。そして今、百数十年前にイギリスで起こった事件が再現される! 時空を超えて幽霊のごとく立ち現われる奇怪な現象、謎、さらに最後の惨劇とは?

 歌野晶午って何となく冨樫義博に似てませんか? 作風とかじゃなく、顔が。似てませんか。別にどうでもいいんですけど。

 そんなコトを書くぐらいネタがありません。非常にオーソドックスな内容です。400円文庫なりのオチです。大掛かりなのでモロバレという感じでしょうか。もっとスマートに纏まると思ったのがちょっとガツガツしてたというぐらいで、メインのオチは殆どの読者が序盤で予想がつきそうです。

 いやスマートなオチと思わせてそこまでスマートでないのが引っ掛けです、なんてコトは言わないでしょう歌野晶午は。これがプライドの権化こと清涼院流水ならそんなコト言い出します。だからぶっ殺したい気分になります。

 状況を把握してガチャガチャした計算をするコトなく、何となくメインオチ分かります。

 この計算させる部分(時間やら人物配置など)が何と言うか、勿体ない感じですね。はっきり言って逐一把握しながら読む読者は少なそうです。それでいてキッチリ堅実に作り込む作者は、プロですな。

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倉阪鬼一郎「文字禍の館」(祥伝社文庫)

「文字禍の館」。それは、ある大金持ちの変人が建てたという、一般非公開のテーマパークである。噂では入館したまま消息を絶った者もいるという。オカルト雑誌「グノーシス」編集部の髀塚たち三人は、招待を受けて謎の館を訪ねるが......。

 これはちょっとヤバいんじゃないでしょうか。全然恐くなかったしぶっちゃけ手抜きにすら思えました。

 序盤で非常に現実離れした空々しいやり取りから始まり、『あヤベ、これくだらなそう』と思ったのですが、それが実は作中作。『流石に今のはないよなあ』と思いほっと一安心して続きを読み進めたら、同じノリ。この400円文庫、古本屋で200円で買いましたが、それでもコストパフォーマンス悪すぎです。

 文字そのもので恐怖を演出しようという試みなのですが、フォントを歪めたり同じ文字でページを敷き詰めたりという手法がいちいち手抜きに見えます。

>ホラーってほとんど恐くないってのが僕の印象。どうにでも展開できるので、難しいジャンルだと思います。んで、『恐くない』という感想に対しても作り手は『それは感受性がないから』という逃げ口上があるのが何だかタチが悪い。

 上の引用は綾辻行人の「殺人鬼」のトコロで書いた文章ですが、「文字禍の館」も含めてやっぱホラーは合わない気がしてきた。「恐さ」という感覚は、他の感覚/感情以上に最大公約数的な部分が薄く、個人個人の受信に差があり過ぎるのだろうか。僕が恐いなと思った作品は江戸川乱歩「孤島の鬼」や一連のマイケル・スレイド作品で、結局のトコロ超常現象が出てくるホラーではなくサイコものだったりします。

 つまり何が言いたいかと言えば、僕は非常に肝の座った度胸の持ち主で頼りがいのある男なので、早く誰か結婚を申し込めというコトです。色白でおっとりした処女希望。


11月19日(火)☆

車田正美「ビート・エックス」2巻

 機械皇帝の代理人/ミーシャ&ナーシャと対面する鋼太郎。ミーシャは子供ならではの短慮っぷりで鋼太郎を攻撃。「生意気な奴め おまえなんか死んじゃえ」、「おまえの頭もここでふっとばしてやる 死ね」など思いつきレベルの理由で数回殺されかけました鋼太郎教授。ガキは恐い。どうにか死なずに済んだ鋼太郎ですが、ミーシャの怒りに触れエリア最下層アンダーヘルへ。

□鉄兵VSカミーラ

 カミーラのビートはミラージュ(モチーフ:アゲハチョウ+α?)。エビルフラワーの花粉によって幻術を使い、鉄兵とエックスを同士打ちさせようとします。カミーラの問い、「鉄兵、おまえは何色だ」。色、というものが生きざま表現のキーワードになっています。取り敢えずここでカミーラが敗北と共に理解する鉄兵のカラーはコレ。「まるで太陽のように...」「まぶしすぎて...わからん!」

□鳳VSロン

 四霊将には四霊将、というワケで皇国へ反旗の様相を見せ始めた鳳対策としてロン登場。ロン、龍をモチーフとしたビート・雷童を従え颯爽と登場です。ここで二人の戦いを通して機械皇国についての背景が掘り下げられています。そして当然のコトながらこのバトルは水入りになるのですが、中断させるのが四霊将の北斗。四霊将3名がこの場に出揃いました。

□鉄兵VS死神

 鉄兵が辿り着いた次なるエリアは墓場。このエリアを支配するのはコウモリ型のビートを操る死神。鉄兵超苦戦します。毎回ヤバイくらい苦戦してます。ていうかエックス、ここでもうボロボロになりました。ドナーの未熟さを鳳から聞かされた鉄兵、エックスを単なる機械と扱っていたコトに自省、エックスもその思いを理解。「五色の燐光」を放ち死神を撃破します。

□鉄兵VSベム

 カニ型のビート/キャンスとそのドナー/ベム。えー、五色の燐光の余力の餌食となりました。ついでに倒したという感じです、ついでに。聖闘士星矢のハーデス編に似たようなギャグチックな瞬殺があったような記憶が。

□鳳VS隼三騎士

 瞬殺シリーズその2。ファルコン三騎士、何のために出てきたのでしょうか。

 ベム&キャンスを撃破した直後にエックスは力を失い墜落。鉄兵が気付いた時、そこは北斗のビート/マックスのコクピット内部。マックスはカメ型のビートでその名の通り異様にデカいです。五色の燐光で燃え尽きたエックス、バラバラになってます。それを北斗がどうやら修理してる様子。車田漫画のお約束、モデルチェンジです。


11月18日(月)☆

 30000アクセスありがとうございます。WJ51号感想。

ソードブレイカー

 昨日は日曜というコトもあり、リンゴ泥棒の子孫が世の人々に後ろめたさを持って生きろと営業に回ってたらしく、アパートの扉をドンドン叩いていました。居留守使ってたんですが、ヤツらの帰り際に窓チラっと開けたら目があって超気まずかったです。

 そんなワケでふと思い立ち、キリスト教の7つの大罪を調べたらこんななってました。

怠惰(sloth)/貪欲(covetousness)/憤怒(anger)/嫉妬(envy)/大食(gluttony)/淫欲(lust)/傲慢(pride)

 憤怒と貪欲がきっと別訳でレスとグリードなのかなあ。流石はののしりを拠点にしてる連中です。

 ソードブレイカー、前回で15話でした。全2巻/20話と想定して残すトコロ5回かなあ、いやひょっとしたらここまで巻いておきながら実は打ち切りじゃなかったりして。そしたらダマシの能力冨樫義博越えるんだけどなあ、などと考えながらの今週号。

最終話〜HEAVEN〜

 びっくりです。医者が患者に「余命半年です...」と言いにくそうに語りつつホントは余命1ヶ月だったぐらいのどんでん返しです。

「ホウ...オマエが勇者か...いつの間に先を越されたか知らないが...」

 聖地ブリリアント最後の遺跡中心部に到着したズール様。前回でトゲトゲ吊り天井の罠を突破したズール様ですが、恐らくそれ以降も様々な聖地の聖の字からかけ離れた罠を切り抜けてきたものと思われます。そこにはすでにミコトがダイヤを揃え完全となった「ソードブレイカー」を纏い待ち構えていました。

 そしてミコトに向かって胸の6つの悪魔核から衝撃波を発射。遺跡を揺るがす程の威力です。ヒビも入りました。トラとサーナも驚いています。両者とも内心ミコトを心配。そしてそれが二人の最後の台詞になりました。

 その衝撃波を真正面からガードしたミコト。グルトニー様の悪魔核がないのが惜しまれます。7つ揃ってたらミコトふぜい吹っ飛ばしてます。そしてそのまま最終回になってました。

 そしてここで明かされるズール様の過去。触れる者全てを感染させる“悪魔の奇病”。触った者は瞬く間に鉄が腐食するかのように絶命する病の持ち主。しかし抹殺されるコトなくそれゆえ戦争の道具として生かされ続けてきた。何かこう色々比喩的で少年誌的にギリギリっぽいです。サーナの義足も微妙なんですが。

「やがてオレの五感は崩壊し...極限の精神状態の中で...さまよえるアバル様の“怨念”と出会い一つになったのだ!!」

 いまサラリと言いました。アバル神の怨念と一体化してるとかサラリと言いましたね。アバル様は登場しない様子。きっと邪神殿サノバビ(仮称)で肉体の修繕をし続けているのでしょう。

 ズール様とミコト、両者気合いを込めいよいよ最後の激突。ミコトの拳がズール様を突き破ります。拳っていうか身体通りました。ズール様穴あいてます。バリバリとなんだか放電してますが、このバリバリという描き文字が毛虫みたいです。そしてズール様、魔人モードから人間の姿に変化。

 奇病に侵されるコトを覚悟のミコトに抱き締められたズール様、感涙、そして絶叫。ズール様が絶叫しながら崩壊していくコマは美麗なる点描で構成されていて今週分で一番力入ってます。

 ブリリアント遺跡頂上から飛び行く二つの光。ズール様も異世界に転生したのでしょうか。それを見上げるトランスとサーナ。

そして二度とふたたびこの世に魔人があらわれることはなかった

“運命”という名の戦いはこうして幕を閉じた

 そしてラスト2ページで虎一と由佳が1話以来の再登場。随分パーフェクトなまとめ方です。梅澤先生のベテランの力を見せつけられました。打ち切りに対して『闘いはこれからだ!』なノリの見開きラストで投げ捨てるコトなく、先週と今週で物語完結させましたから。

 巻末コメント、『「SWORD BREAKER」を毎週読んでくれていたみんな!ほんっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっとうにアリガトウ!!』。梅澤春人先生、約4ヶ月お疲れさまでした。しばらく山奥で木の実などを食べながら充電して、新しい作品への英気を養って下さい。

 最後に、この素晴らしい「ソードブレイカー」という作品と巡り合えた奇跡を祝して、宇宙刑事ギャバンの替え歌を捧げたいと思います。

 

魔人なんだろ? ズルズルするなよ

胸のデビルコア 火をつけろ

おれは打ち切り ひと足お先

光の速さで あしたへガッデム

ファンタジー ファンタジーってなんだ ビートを刻むことさ

神ってなんだ アバル様のことさ

ウメ! アバル涙

ウメ! よろしく次作

ロック漫画家 ウメ!

 

悪いやつらは 天使の顔して

パン屋でパン粉を こねてるものさ

おれもお前も 名もない花を

焼き付くせれる 魔人になるのさ

聖地 聖地ってなんだ 吊り天トゲのことさ

神ってなんだ アバル様のことさ

ウメ! アバル描いて

ウメ! 描き下ろして

ロック漫画家 ウメ!

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 今週号は他の感想はナシで。他の感想が読みたい方はゆいま氏のトコロをどうぞ。ただし、ゆいま氏もソードブレイカー祭を開催してるかも知れません。


11月17日(日)☆

 マイケル・スレイド「髑髏島の惨劇」、東野圭吾「探偵ガリレオ」読了。えー、非常に部屋が寒いです。ヤブキカケルになった気分です。

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トマス・ハリス「レッド・ドラゴン」(上・下/ハヤカワ文庫)

満月の夜に連続して起きた一家惨殺事件は、全米を恐怖の底に叩き込んだ。10人が残酷な方法で殺されたうえ、犯行現場では不気味な死の儀式が行なわれていたのだ。
かつて異常犯罪の捜査で目ざましい業績をあげた元FBI捜査官グレアムは、次の満月までに犯人を捕らえるべく捜査を開始。だが新聞の報道でグレアムの存在を知った犯人が彼をつけ狙いはじめた!

 いわゆる「レクター三部作」と呼ばれる作品の一。作品構成の骨格は、殺人鬼ダラハイドVS元FBI捜査官グレアムで、追われる者とそれを追い詰める者、それぞれの視点で描かれています。いま殺人鬼ダラハイドなどと犯人バラしましたが、サイコスリラーはそこがキモじゃないので構わないだろう。

 このダラハイドが主人公と言ってもいいかも。顔にコンプレックスを持った男という一見どこにでもある人物像ですが、彼が、自身をウィリアム・ブレイクの<大いなる赤き竜>と重ね、如何に暴走していくか、その辺の造り込みが流石。気の触れた人間を描くのは非常に難しいです。そうなるまでの理由がどうとでも付けられるので、作者の独り善がりな説得力に乏しい人物造型になるコトが多々あります。この作品ではそんな問題はクリア。

 追う側のグレアム、幾つかの手掛かりから自身を犯人と同化させてその心理を探り、ダラハイドへと近づいていくのですが、こちらは言ってみれば裏主人公。殺人鬼を追うという善玉的立ち場でありながら裏という印象です。

 ヒロイン的存在の設定も絶妙です。容姿にコンプレックスを持つダラハイドに好意を寄せる盲目の女性。このシチュエーションだけでも切ないです。展開がサスペンスフルで、ストーリーの完成度も高く、三部作中一番好きな作品です。

『人は観るものしか見えないし、観るものはすでに心の中にあるものばかりである』


11月16日(土)☆

 気が変わったので壁紙を少しずつとっぱらってます。時間かかるなコリャ。

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きくち正太「おせん」1巻

 食の老舗『一升庵』へ帳場修業に来た江崎くんの目を通して描かれる、『一升庵』の女将/半田仙ことおせんの姿を描いた作品。という感じでしょうか。普段はすっとぼけてるけど、審美眼に優れてる女性、それがおせんです。

 『酒・料理・陶磁器・かやぶき屋根......日本の美を想起させる、自分が魅かれてやまない数々の事象、事柄をまんがにしたらこうなっちゃいました。ああ、あともちろん女性も......。』というのが作者の言葉。「本物」を見極める目、という意外と昔ながらのテーマで、その辺は土屋賢二イズムに感化されてる自分としては意義もあるんですが、この作者観で安定した作品にまとめあげられているので、別に抵抗はなし。

 きくち正太というと「獣王バイオ」しかロクに読んだコトないんですが、その頃に比べると絵が独特な方向に変化してますね。人物はデフォルメ路線で他はやけに写実的。んで、それが上手く調和されているという。あと、男女問わずアラレちゃん系のキャラをよく描く人というイメージがあります。

 1巻で一番ステキなシーンはP189。男アラレちゃんが一升瓶ラッパ飲みのコマがカッコイイ。

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きくち正太「おせん」2巻

 1巻にはなかった「あとがきノオト」なんてものが巻末にあるので、てっきり2巻で終了なのかと思ってたんですが、先日書店で4巻まで置いてあるのを見かけました。読み切り形式(連作)なのでいつでも終われるんですが。

 作画にしろ構成にしろどれも安定した作りなので、特にコレがイイ!とズバ抜けたものをあげれないのですが、無理矢理言うならこの2巻では10話、おせんの母登場がインパクトがありました。

 この「おせん」はドラマ化しても面白いかもと思わせるネタです。内容がヒューマンドラマ的で万人向けだし(万人向けって言葉は、頭の堅い年寄りにも道理の不安定な子供にも大丈夫という、悪い意味もあるんですけどね)。もとから独特の画風なので、役者に関しても「ビジュアル面でイメージが違う!」という弊害も薄そう(誰がやってもビジュアル的に違う)。


11月15日(金)☆

京極夏彦「ルー=ガルー」(徳間書店)

21世紀半ば。清潔で無機的な都市。仮想的な均一化した世界で、14〜15歳の少女だけを狙った連続殺人事件が発生。リアルな“死”に少女たちは覚醒した。......闘いが始まった。

 これは「月刊アニメージュ」などで約半世紀後の未来想像図を募って作り上げた作品です。巻末のスペシャルサンクスに公募(採用?)者の名がそりゃもうズラズラ列記されています。京極らしく相変わらず分厚いのですが、他作品のような衒学による分量肥大化ではなく、この未来シミュレーションによる新しい社会の説明がその分厚さを担っています。社会、もしくは現在の延長にある新しい文化の構築でしょうか。

 文化の違いは価値観の違いにも繋がります。草!g剛扮するチョナン・カンも日本じゃお笑いキャラですが、韓国ではどんなキャラなのか分からないように。その辺あまりに格差があると読んでて何も分からない内容になるので、主人公の一人に現在の価値観を持つ(作中では古風な存在になるのだろうか)少女を設定し、読者とのブリッジを残しています。

 SFはどうしても『自然(もしくは現在)が一番』的オチに着地するのが多いんですが、この作品でも事件が起こった時、現在と異なる部分/新しい社会ならではの側面が問題になるのは、物語力学の要請でしょうか。

 更に、社会や文化の違いはミクロな視点にシフトすると個人の違いにも繋がります。いわゆる「人それぞれ」。「人それぞれ」は得てして主義主張に対して言われる言葉ですが、この作品では主義主張の違いではなく、即物的な部分で表現しています。

 形状認識異常。

 現実に網膜が把握する世界は、写真に写した画像の様に視えている。でも、アニメやデフォルメされたような絵と写実的な絵の区別がつかない「形状認識異常」という症例もある。これは極端な例だけど、人それぞれで映る世界は異なっている。この辺が興味深かったです。

 というわけで、あなたの目にはチョナン・カンはどう映っていますか。あなたのブラウザではクサナギのナギはどう映ってますか。


11月14日(木)☆

 山田風太郎「忍者六道銭」、森博嗣「スカイ・クロラ」読了。本日の購入書籍。

井上夢人「メドゥサ、鏡をごらん」(講談社ノベルス)
鮎川哲也「準急ながら」(光文社文庫)

車田正美「ビート・エックス」5/6巻

 「準急ながら」、これてっきり『準急でありながらも〜』という意味だと思ってたのですが、『ながら』という名の準急だったのね。

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今週のバキ感想

 最後のコマのシコルスは歓喜の雄叫びでしょうか。今回を読んで感じたのは、死刑囚編の初心に立ち返ったかのような台詞が多かったコトです。もうはじまってる、反則負けはない、など。

 シコルスの本来の主張は「ヨーイドンで始めるのは試合であって闘いではない」。それでいてミっちゃんに勝負の開始を促したのは、これまで何気に相手に合わせて闘ってきてたのかも。「もうはじまってる」というミっちゃんの言葉に続いて、ジャックの「反則負けはない(何でもオッケー)」という駄目押しの一言。やりたかった闘いがようやく出来る、その思いがラストの絶叫に繋がっていそうです。もちろん、ページ稼ぎの単なる気合いかも知れません。

 この調子だとシコルス編の纏め方は異様にクリーンになりそうです。猪狩も善人。シコルスとの過去の手合わせでシコルスの主義を理解して、今回のお膳立てに一役かったような感じで。

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赤江瀑「光堂」(徳間文庫)

美酒の満月/逢魔が時の犀/曄曄庭の幻術/青毛/雛の夜あらし/夜市/光堂/艶かしい坂/青き鬼恋うる山 以上9編収録

 赤江瀑作品は日本的で美麗なるタイトルが素敵極めていて、字ヅラ眺めてるだけでも陶酔できるのですが、これ打ち込むのえらく大変です。漢字ないし。ヨウヨウテイのヨウの字、ホントは「火+華」なんですが、見つかりませんでした。他のサイト回ってコピペしようかとも思ったんですが、他でもあるのかどうか保証がないので素直に諦めました。黙ってれば誰も気付かなかったコトいま書いた。

 以上で、この作品の感想を終わらせて頂きます。

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赤江瀑「八雲が殺した」(文春文庫)

八雲が殺した/葡萄果の藍暴き昼/象の夜/破魔弓と黒帝/ジュラ紀の波/艶刀忌/春撃ちて/フロリダの鰭 以上8編収録

 ミステリに動機は不要、正直それを謎解きの照準に据えたり、パズルのピースとして使うのは非常に難しい気がします。ホワイダニット(何故殺したのか)という言葉/分岐ジャンル自体がナンセンスにすら感じます。

 メンタル部分から謎にアプローチするのは、どうしても推測の域を出ない、そんな弱味があります。自分の経験則からいって、相手の心理/意図/悪意/敵意が確実にトレース出来るというコトは実生活において往々にしてありますが、相手がしらばっくれたらそこでお終いです。

 んで、この「八雲が殺した」に収録されてる作品には、この『動機』に激しくアプローチされてるものが多かったです。赤江瀑作品はミステリとして読んでないのですが、『動機に照準を合わせたミステリを書いた場合、これらのような作品になるんじゃないだろうか?』と、途中でふと思い立ちました。

 謎に対して、一つの答えらしきものに辿り着くのですが、それはあくまでも推測のまま、正解という保証のないトコロで物語は閉じます。何かしら釈然としないものを残しつつ、それでいて鮮やかです。


11月13日(水)☆

岡崎二郎「アフター0」7巻 《生命の鼓動》

のみこむ/遥かなる口笛/あなたの声が聞こえる/白い世界の彼方から/楽園への招待/日本で一番偉い猫/爬虫類めずる姫/東京カルガモストーリー/人猿の湯/恋は利己的/花だより/ふしぎの島の贈り物/ガラス箱の生き物たち/乾いた大地の贈り物/熱帯雨林は永遠に/狩人 以上16編収録

 6巻もそうだったのですが、この7巻も収録作品数多いです。この16編の中には、今回の著者再編集版で初めて単行本に収録される作品も多くあって、昔の単行本で読んでいたコアなファンにも嬉しいのではないでしょうか。僕はほとんど初読なのでその辺は推測ですが。

 未収録だった作品はオチが微妙にスマートじゃないのかなあ。充分楽しめるのですが、作者的に自分に厳しい目を向けてたのかも。その辺は推測ですが。

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岡崎二郎「アフター0」8巻 《未来へ...》

悪魔の種子/究極のホラー/エイリアン北へ行く/赤富士/小さく美しい神/幸福の叛乱/想い出は結晶の中に/進化の果て/無限への光景 以上9編収録

 「小さく美しい神」「幸福の叛乱」「想い出は結晶の中に」「進化の果て」、この後半4編は大洋電機社を舞台にした連作になっています。更に、「進化の果て」は歴代「アフター0」キャラがバシバシ出てくる上に、内容もこの「アフター0」全体を締めくくるに相応しいものになっています。歴代キャラが出てきた時には『この作者は自作に意識的/何を描いたかきちんと把握してるんだなあ』と素で感心しました。荒木飛呂彦あたりはどんどん設定忘れてそうですから。

 そして大団円ノリの「進化の果て」が最後ではなく、もう1本「無限への光景」、これをエピローグ的にオーラスに持ってくる辺りが非常に素晴らしいです。構成の妙技です。

 この「アフター0」、好評だったのか9/10巻の刊行が決定されたそうです。この8巻の締めくくりの美麗さが微妙に壊れちゃうし、カバーなんかにも<全8巻>と書かれちゃってますが、とにかく出るのは純粋に嬉しい。

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森博嗣「臨機応答・変問自在」/「臨機応答・変問自在2」(集英社新書)

 質問に捻くれた回答をしている、そんな本です。えー、パラパラと立ち読みです。これは何と言うか、不愉快な本ですな。論点をずらしたり言葉遊び的な回答をしていて、メカニズム的には土屋賢二のエッセイに近い文章です。土屋賢二のエッセイは好きです。それでいてこの本が何故不愉快かと言えば、回答が傲慢で傲岸だから。

 氏自身の小説のキャラクターに言わせてるような回答/言い回しなんですが、これが森博嗣本人の回答(言葉)という形なのが読んでて不愉快にさせる理由です。小説のキャラクターの台詞ならば、フィクションというフィルターがかかるのですが。

 土屋賢二は本人の言葉でありながら何故不愉快に感じないのかを考えるに、捻くれ方が自虐に持っていくからです。それ故に、着地に笑いが生まれる。

 森博嗣はビジネスライクな視点も持ってるのに、どうしてこういう自分にマイナスになる本を出したのかが不思議。しかも2なんて続編も出しちゃってるし。ニーズはあるんでしょうが、100円得る為に1000円出してる感じ。

 『小説は好きだけど、本人はイヤ』というタイプにカテゴライズされています。「遺書」を出した時の松本なんたら(ダウンタウンの片割れ。ハゲ隠しの為にボウズにしてるほう)のように、化けの皮が剥がれる瞬間を感じました。


11月12日(火)☆

 北村薫「謎物語」、山田風太郎「野ざらし忍法帖」読了。

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那由多遥「週刊現代11/23号」

 公式サイトの掲示板でヌードヌードと書き込みがあったので、慌てて書店に向かいました。まさかヌードはないだろうと思ってたのですが、まさかヌードでした。ただし、セミヌードでかつポイントは見せないアングルでの撮影。

早い話が、いつもと変わりありません。

ていうかいつもの方がエロいです。小道具使ってるからネ。

 よって今回は購入せずに見送り。「ULTIMATE HEROINS」に向けて、11月22日まで気を溜め続けます。

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谷甲州「エリコ」(上・下/ハヤカワ文庫)

二二世紀。無国籍都市・大坂。美貌の高級娼婦、北沢エリコは、大坂府警の刑事から、中国系マフィア、黒幇(フェイパン)が運営する売春組織への囮捜査を強要されたが、それが原因で、府警と黒幇双方から追われることになり、いつしか奇怪な陰謀の渦に巻きこまれていく。遺伝子工学、生物工学の先端技術による改造人間やクローン、疑似人格までが入り乱れ、謎が謎を呼び、猥雑と戦慄がからみあう、嗜虐と倒錯の近未来サスペンス。

 サイバーパンクな雰囲気たっぷりで、話もグイグイ転がっていくタイプのSFですが、全体的にちょいとパンチが弱いかなあ。75点アベレージで最後まで突っ走る感じで、50点に落ちないかわりに90点に跳ね上がる瞬間もないような。ゴテゴテのSFと並列して読んでたからそう感じたのかも知れない。

 上巻では上海での黒幇との関わりが中心で、下巻では弘田という男が話に深く関わってきて最終的にはFF4よろしく月まで舞台は広がります。舞台が月になってもストーリーに破綻はなく雰囲気も壊れないんですが、それ故にわざわざ月に行くまでもないだろ的違和感を感じます。

 あとがきや解説によると、発表時にはセクシャルな描写が波紋を呼んだようなコトが書かれています。確かに(上海マフィアらしい)性的な拷問などの描写が結構あります。ロバとか。あの、ロバとかね。でもその辺はそれほどにも感じなかったなあ。恐らく、僕が普段考えてるコトが遥かに異常だからだと思われます。小生、火田七瀬の天敵でございます。

 作中に出てくる性的な描写にも色々あるのですが、性を欲のみではなく、愛の観点から捉えてる感じのものが多いです。バキ雄全開編のような意図での性描写です。


11月11日(月)☆

 WJ50号感想。

アイシールド21

 この作品、対比の構図がよくありますね。桜庭が切ないです。どうもこの調子だとデビルバッツ、今回は負けてそれを成長の糧に、という型のようですが、勝利チーム(予定)の桜庭もその流れで成長するのかな。

ワンピース

 ジャンプの表紙ワンピですが、何だかワンピの表紙という感じがしません。これは描き下ろしなのかなあ。

 本編ではナミがメガネをかけてたのが意表。チャリーンのコマの為だけにメガネにしたような気がします。ドクロの右目ってどっちだ? この場合左右がどうとでも取れそうです。ナミが地図を指してる指から神殿の位置がそう見えますが、実は逆の方(入江)で、空にこないで沈んでいたオチにも持ってけそう。

遊戯王

 記憶の旅、長くなるのかなあ。鳥山明なら3週と描けないエピソードです。理由は、人物のトーン張るの面倒だから。

ブラックキャット

 僕的に、立ち場を色々想定して想像力を駆使してもどうしても理解出来ないものが2つあります。一つは「ニュースサイト運営者は何が楽しいのか」、そしてもう一つが「ロリコン」。識者気取りの人間がロリコンの心理を説明するに、『対等の年齢の女性と話が出来ないので』云々の解説をするコトがあるけど何か納得感がない。ていうかロリコンのキチガイの心理など別にどうでもイイが。

 どうにかロリキチ心理をイヴの話の枕にしようとしたんだけど面倒なのでもういいや。

いちご100%

 特大パネルにつきます。この漫画、東城が一番色白に見えるのは何でだろう。髪が黒いから際立つのだろうか。

A・O・N

 マジでテンポ早すぎ。試合の見せ方など浄明戦と変えてきてるのがイイです。色んなコトしてくれそうだし、演出もイチイチ上手いんですが、異様なテンポが気になります。

ハンター×ハンター

 ツェズゲラのイイ人化が進行中。レイザーが外野にパスを出した時のロング絵、ゴンチームがザザッとボールから離れてるんですが、何か面白い。ヒソカやツェズゲラがドッジボールちゃんとやってるのが面白い。いやちゃんとやらないと死ぬんですが。

ソードブレイカー

大変なコトになって参りました。

聖地ブリリアントの大預言者ズールの元に集結する六剣邪。素晴らしいデザインです。アバル信徒で良かったと思った瞬間。特に剣邪エンヴィー。「5キャラしかいねえ!」と思ったらこいつが分かりにくい位置にいました。

 そしてズールに向かって一人一言勇者を倒す任を自分に求めます。それが時世の句となりました。ズールは六剣邪の悪魔核(デビルコア)を奪いパワーアップ。

六剣邪、終了。

ミコト一向もまたブリリアントに到着。ミコトのみが中に入り、ダイヤも6つ一気に揃いました。そしてその場にズール登場。ズールがズルズル擬音を引っさげて最悪のギャグセンスで登場です。あからさまな巻きを見せてますこの漫画。これはもうアバルも見れそうです。

ストーンオーシャン

 最後のエルメェスの頭にドカンと石柱がぶつかるシーン、マジなシーンなんですが滑稽に映ります。タライが頭上にガコーンな感じに見えます。ウェザーの死の時の泣きっぷりといい、エルメェス、狙ってなくて妙な役回りが目立ってます。先週のアナスイも笑えましたが、あれは狙ってる。

 

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