3月10日(日)☆
●永井豪「デビルマン(講談社漫画文庫)」1巻
名ばかりが先行していてまともに読んだコトのない作品が色々とあるんですが、この「デビルマン」もその一つです。アニメ主題歌のフレーズが耳に残っているのに内容はロクに覚えていません。観ていたかどうかも正直分かりません。よくパロディに引き合いに出されるからそれで曲が頭に残ってるのかも。
この1巻では主人公/不動明が親友の飛鳥了から世界が悪魔に狙われていると知らされ、魔界の勇者と呼ばれるデーモン/アモンと合体し、デビルマンとなるまでの顛末が描かれています。突拍子もない導入を薄い根拠で受け入れるのが昔の漫画ならではなんですが、このデビルマンへの変化は当時としてはかなり下調べをしている方なのではないでしょうか。
今でこそ色々と悪魔関係の作品が作られているので、受け手の悪魔に対する知識が底上げされている感じですが、この作品が描かれた時期を考慮に入れると、永井豪頑張ってます。
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●永井豪「デビルマン(講談社漫画文庫)」2巻
デーモンの最強の女戦士/シレーヌとの闘いが収録。デビルマン関係のイラストやフィギュアでよく見かける頭に翼が生えてる例のキャラがシレーヌです。敵悪魔の1名ぐらいの認識しかなかったのですが(実は名前も曖昧だった)、バトルも長めでデビルマンも苦戦してます。ラストシーンも意外な幕引きで、カリスマ悪魔な感じです。ていうかこれデビルマン負けてるでしょ。
後半には後味の悪いホラー風味の短編が2つ収録。シレーヌ戦とちょっと傾向が違うものなんですが、どうしてこの2巻に入れたのか。全5巻とする上での編集の関係なのか。
3月9日(土)☆☆
●殊能将之「鏡の中は日曜日(講談社ノベルス)」
殊能将之本人のホームページにて、綾辻行人「館シリーズ」のどこを参考・引用文献として用いたのかについての表記らしきものがありました。しかし、それでも僕は、これも万一突っ込まれた時の逃げ道/カモフラージュと思っていますので(笑)。
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●板垣恵介「餓狼伝」6巻
グレート巽の過去回想突入。公式な試合ではもはや敵なし状態のタツミに準備された舞台が地下プロレス界。ここに入って最初の勝負、ブラジリアン柔術の使い手/ペドロ・ゴラエスには多少手こずるものの、やはり次々と快勝を続けます。舞台を地下に移してもタツミ人気はうなぎ上りです。
そして早くも相手がいなくなりかけた矢先に、この地下プロレスのボスこと泣き虫(クライベイビー)サクラの登場。視力のないサクラは常にサングラスをかけています。タツミとの闘いを告げ、立ち去る際メガネを外しますが、その場にいた女性が失神。とにかく『視力がない』とは言え実際どんな風になってるのか気になる描写です。
サクラに関しては、視力が失われているものの、残る四感全てが尋常でないコトも表現されています。グラス満々の表面張力ギリギリまで酒を注ぐ(聴覚)/蚊に残った血を嘗め、血の主の体調を知る(味覚)/科学塗料の臭いで色を知り、筆に伝わるキャンバスやパレットへの感触で油絵を描く(嗅覚・触覚)など。
とりわけ聴覚が鍛練されていて、相手の声の位置で身長、声質で顎を中心とした顔の輪郭、声量で胸部から腹部の形状、座ってる座席の軋む音で体重を弾き出し、ほんの1分ほど会話を交わしただけのタツミの姿を絵にしているトコロは半端じゃないです。
このクライベイビーサクラは原作に登場しない板垣恵介オリジナルのキャラクターです。ほぼ1巻分かけて紹介された化け物サクラ、タツミも日の丸の旗を前に正座して、
人類(ヒト)と闘うという気すらしない
と恐怖に顔を引きつらせています。全くです。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」15巻
幼年期編のこの巻の序盤3話分は、勇次郎と江珠(お互いに19歳)の出合いが描かれています。江珠、梢江似です。外見は作者の画風なので度外視しても、おどおどした性格もまた梢江似です。 つまり、未来の梢江が何となく想像出来る感じです。
江珠が朱沢グループの総帥/朱沢鋭一と結婚、その夜に範馬勇次郎が鋭一を殺害。朱沢グループの莫大な財産を手にした未亡人となった江珠。警察への犯人の人相の供述もウソ言ってます。おどおどした性格は芝居ですか。梢江もそうなのか?
鋭一を殺したその場で勇次郎の種を宿し、刃牙を鋭一の子として偽って育ててる、というのが順当な考えだと思うんですが、範馬姓を名乗ってる刃牙が不思議。朱沢グループの実権を握った後で『実は範馬勇次郎の子だよーん』とカミングアウトしたんでしょうか、江珠。
んで、花山戦を終えた刃牙へと話は戻ります。ここに来て刃牙は自分と父親では『最強』に求めてるものが異なるコトを認識します。絆。ボクシング世界チャンピオン/猿/ヤクザとの闘いを経て、今までは憧れの存在だった父親との一つの決別。
最後は父親との決戦を1ヶ月後に控え、最後の成長を賭け、刃牙は戦場にも匹敵する場所へと向かいます。北海道大雪山系での自衛隊5名からなる最小にして最強の部隊との闘い。刃牙、パラシュート降下していきなり捕まりましたが。
3月8日(金)☆
3000アクセスありがとうございます。気が付けばもう、という感じです。
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●山崎さやか「NANASE(原作/筒井康隆)」1巻
episode 0 : 七瀬、故郷に帰る
これは「家族八景」にあったエピソードのリメイク版で、超能力者/火田七瀬の顔見せ、紹介といった感じになっています。精神感応能力者。他人の心が分かるテレパスであるコトの紹介です。この場合、美人をテレパスにしてるってのが作品のポイントです。出逢う男ほとんどが頭の中で脱がすという。
初回からいきなり拉致されてます。ひん剥かれてます。ただ、下着止まりなのがちょっと不満ですが。
episode 1 : 二人の超能力者
ここから「七瀬ふたたび」に忠実に沿ったストーリー展開に向かう様子。七瀬と同様テレパスのノリオがレギュラーに加わります。
相変わらず七瀬、男の頭の中で脱がされまくっています。まあ、これが楽しみでコミックス買ってるんですが。
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●山崎さやか「NANASE(原作/筒井康隆)」2巻
episode 2 : 邪悪な視線
透視能力者/西尾の登場。明らかな敵能力者となる存在が初めて出てきました。他にも味方として念動力者/ヘンリーも出ます。七瀬だけ裸の描写、異様に力入ってます。トーンの削りなどやけにこだわってる感じです。ああ、透視能力欲しい。
せいぜいニセ透視能力で、ピッチリしたパンツの女性を見かける度に、脳内で肌色テクスチャを張り付けるコトしか出来ない自分。
ラストは西尾をあっさり自殺させるってあたり容赦ナシ。生き残らせたらヤバい相手ですから。
episode 3 : 流れゆく時の中で
七瀬/ノリオ/ヘンリーの三人が北海道へ向かう客船の中で遭遇する事件。この巻では当エピソード、途中で終了です。ちょっとぽっちゃりした女性可愛い。あ、また今のマニアックな発言でしょうかね。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」12巻
この巻には「刃牙VS夜叉猿」決着、そしてユリーへと迫る花山までが収録されています。
板垣恵介がグラ刃牙増刊号で「最強を求める上で回避出来ない相手」として『不良/猛獣/ヤクザ/軍隊』、この4つを挙げていた記憶があります。この夜叉猿との闘いは『猛獣』に該当しますが、こうしてみるとこの幼年期編で既にこの4つの存在と刃牙は対戦していますね。
刃牙の全身に這う引っ掻き傷はこの夜叉猿戦にて付けられた模様。夜叉には常識的な闘いのセオリーが通用しませんでしたが、この辺花山戦にプラスになった感じかも。
んで、夜叉との闘いを経て成長した刃牙ですが、当初ユリーとの再戦に向けての特訓だったのに、一気にユリーを上回ったらしい。刃牙の母/朱沢江珠は当初花山をぶつけようとしていたものの、息子の成長を知り花山を取り下げユリーとの対戦を組もうとします。やはり、その辺のヤクザよりもボクシング世界チャンピオンって肩書きの方が響きが良さそうですから。
最後は試合前のユリーの前に花山登場、あっさりとユリーを沈めます。世界的に名が知られてる存在よりも、ひっそりと一部の間で実力が知られてる隠れた逸材であったコトが判明。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」13巻
前半は花山の強さに関するエピソードが幾つか描かれています。
薔薇の香水が好きだったと語る母親を思い出しながら、薔薇の花束から花びらをむしり取り、更にそれを握り締め、数滴のエキスを絞り出す。そしてそのエキスを病いでガリガリになった母親の頬へ付ける。板垣ワールドに於ける母の存在の大きさを語りつつ、花山の握力の凄まじさをも表現。にしてもこのシーン、気を抜くと「老いた母を見舞う息子」に見えてしまうんですが、花山薫はまだ15歳ですからね。
殴る/蹴る/引っ張る/持ち上げる、という具合に自分の肉体のみの力でキャデラックを破壊。他にもこの段階では『謎の現象』止りの攻撃、花山に捕まるとその部分が爆発するについても触れられています。
そして巻の中盤からいよいよ刃牙VS花山開始。場所はフクロウビル最上階ゲームセンター。ガードをしない男/花山の刺青「侠客立ち」も公開され次巻へ突入。ていうか花山ホントキャラ属性沢山あります。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」14巻
刃牙VS花山決着、そして範馬勇次郎の登場までを収録。
花山の謎の攻撃が『握撃』と判明。花山のみが持つ、神に与えられた超握力で対象の身体を握る。その結果、圧力によって行き場を失った肉や血が体外へと爆ぜる。
一方の刃牙もまた「力の流れが見える」天才性を披露し反撃。最後は打撃戦の応酬にて勝負終了。一応「おまえの......勝ちだ......」と花山は刃牙に語りますが、ドローにも等しい幕引き。
そしていきなり勇次郎が乱入し、花山にトドメを刺したと思ったらさっさと帰ります。まさに鬼。
3月7日(木)☆
今邑彩「ブラディ・ローズ」読了。本日の購入書籍は以下。
山崎さやか「NANASE(原作/筒井康隆)」2巻
ミステリー文学資料館編「『新趣味』傑作選」(光文社文庫)
「NANASE」は1巻の時よりも山崎さやかの画力が向上した感じです。この巻では透視能力者が出てくるので嬉しい傾向です。
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●今週のバキ感想
ドイルに対して暗器のナイフを打ち込んだ烈。そして更に火吹きでドイルを炎に包みました。ドリアンに喰らった火炎攻撃をドイルに返す烈先生。そして次は消化器放出。わざわざ火を消してしまいました。相手が爆薬を使うのを思い出して暴発を恐れたのでしょうか。
更にナイフ連射です。ドイル、やられ放題です。ナイフの次に烈先生が出した攻撃は、またナイフです。そこから更に、ナイフ。ナイフナイフでもう大変。これはやり過ぎというぐらい投げ付けています。ドイル、全身にナイフが生えた状態で遂には「ミギャアアアア」とジョジョ的な悲鳴をあげました。
どうにかバーの外へ逃げ出したドイルですが、ふらついてコケて、刺さってたナイフが身体にズズッと押し込まれるなど大ピンチ。こんなにビシビシ刺さってたら体内に仕込んであるコードが切れてそうです。
近付いてきた烈に対して血を浴びせ目潰しを試みたドイルですが、烈、目に血が入っても瞬き一つしません。最後は「お前は中国武術を嘗めた!!」と大激昂。嘗められた中国武術ってどの辺を言ってるんでしょうか。空手(紐切り)を指しているんでしょうか。この台詞、どちらかと言えばドリアンに向けて欲しかった言葉に思えますが。
今号の烈から『武器を上手く使いこなしてる自分が最強、功が成ったと思ってるようだが、武器使ったら強くて当然なんだよ。バカ。このバカ』というオーラを感じました。
ドイルはこのまま終わるのでしょうか。背伸びしてどうにか地下闘技場戦士よりもちょびっと上をいってた程度で終わってしまうのでしょうか。
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●殊能将之「鏡の中は日曜日(講談社ノベルス)」
鎌倉に建つ梵貝荘は法螺貝を意味する歪な館。主は魔王と呼ばれる異端の仏文学者。一家の死が刻印された不穏な舞台で、深夜に招待客の弁護士が刺殺され、現場となった異形の階段には一万円札がばらまかれていた。眩暈と浮遊感に溢れ周到な仕掛けに満ちた世界に、あの名探偵が挑む。
殊能作品というコトで、前作「黒い仏」の呪縛から何かしら斜めなものが含まれていそうだと構えて読んでしまうこのサガは何なのか。
読んだ感想は、いわゆる新本格の系譜という感じで、極々純粋に楽しむことが出来ます。しかし何というかほら、この人は殊能将之ですから。穿ったものが含まれてるんじゃないのかとどうしても考えてしまいます。
参考・引用文献に綾辻行人と「館シリーズ」がずらりと並べられています。作中に推理作家/鮎井郁介というキャラが出ていて、その執筆作品が『紅蓮荘事件』『空穂邸事件』『樹雨館事件』『紫光楼事件』『阿修羅寺事件』『梵貝荘事件』。鮎井郁介というネーミングは綾辻のもじりと思われるし、それを補強するかのような「館シリーズ」的な鮎井の作品群。
なので、このネーミング部分が『参考』として使われてるのかと思いそうですが、きっとそれはカモフラージュで、実際に参考として使われてるのはトリックなんじゃないかと僕は思っています。綾辻、更には新本格勢が好んで使う叙述トリックの集大成というノリの作品に感じました。
更に超斜めに穿った考えをスパークさせるなら、『作家によってはネタを薄めたり自己焼き直しで数冊にしてる方もおられますが、私はこの1冊でそれらを網羅してみました』ぐらいの挑発にすら思えてきます。ホント超穿った考えですが。
もう一つこの作品に感じたのが、一般に流布してる『高尚と俗の線引き』への考え方です。
坂口安吾の「不連続殺人事件」内の言葉、『彼の人間観察は犯罪心理という低い線で停止して、その線から先の無限の迷路へさまようことがないように、組み立てられているらしい。...だから奴には文学は書けない』に対する探偵役/石動の意識を始め、『(女子高生の)ファッション』と『(フランス)文学』、『肉体/性的な美/魅力』と『精神性や知識/知性』。
一般に『高尚』と考えられているものと『俗』と考えられているものの間に勝手に線を引き、自分はランクの高い方/高尚な側にいると偉そうにしてる人がいるけど、その辺どうなのですか的主張を感じました。
ひょっとするとこの辺は、本格ミステリはかくあらねばならないという閉塞した考えに固執してる集団への殊能イズムの表明なのかも。執筆期間が分からないんですが、「黒い仏」に対して『本格ミステリと呼べないのでダメ』という感じの切り捨てた評価への返答にも思えてきます。
3月6日(水)☆
殊能将之「鏡の中は日曜日」読了。感想は後日。後回しにして書いてないのがあるのが気になってきてるんですが。そろそろ忘れそうで。赤江瀑「春喪祭」。
昨日から今日にかけてサーバーダウンしていてアクセス出来ない状態になっていました。上にも書いておきましたが、15〜21日にもメンテナンスで更新&閲覧が不可能となりそうです。
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●ディクスン・カー「不可能犯罪捜査課(創元推理文庫)」
新透明人間/空中の足跡/ホット・マネー/楽屋の死/銀色のカーテン/曉の出来事/もう一人の絞刑史/二つの死/目に見えぬ凶器/めくら頭巾 以上10編収録
前半6編は、ロンドン警視庁D三課課長マーチ大佐を探偵役に据えたもので、このD三課ってのが総タイトルにもなっている「不可能犯罪捜査課」。お手上げ級の事件が投げ込まれる課です。
カーのシリーズ探偵と言えば、ヘンリー・メリヴェル卿とギデオン・フェル博士が有名ですが、どちらも肥満体ってイメージしかなく、ぶっちゃけ二人の区別付きません、僕。んで、今回のマーチ大佐に関する風貌の描写なんですがこうなっています。
>そばかすだらけの顔をした、大兵肥満の、温厚そうな男(体重は238ポンド)
どうやらまた巨漢のようです。
何かこだわりがあるのでしょうか。道化や狂言回しイメージとか。太った男性が好きとか。
んで、内容の方の感想ですが、僕的に「銀色のカーテン」がツボでした。ジェリー・ウィントンの目の前を歩いていた男が突如倒れ込む。近付いてみると男の首には短剣が突き刺さっていて、すでにこと切れている。背後を歩いていたジェリー・ウィントンに当然容疑が降り掛かるんですが、この解決が見事。タイトル「銀色のカーテン」が美しく決まっています。
「ホット・マネー」あたりは外国の常識/ライフスタイルを下敷きにして書かれているので正直こんなの分かるかという感じでしたが、知らない常識が下敷きになってても、法律の穴をつく「もう一人の絞刑史」は作品内で書かれてる法律の知識だけで楽しめる作品。解けるかどうかは別にして、こういうタイプの「規則の穴」を見い出す展開は面白い。
ラストの「めくら頭巾」は「謎→解決」の仕掛けてある部分を見誤って(というか怪奇を怪奇のまま流してる部分があった。そこも解決されると思っていた)、ちょっと宙ぶらりんな気持ちにさせられました。麻耶雄嵩「水難(メルカトルと美袋のための殺人収録)」的な書き方をしてたらもっと集中できたのに(笑)。
3月5日(火)☆
●今週の餓狼伝感想
本編の方は何やら巽が裏工作を仕掛けてる様子が描かれていました。台本作りまくりです。この大会に関してはショーとして割り切ってるのでしょうか。実力を隠してビジネスに力を入れてるのでしょうか。
今回は巻頭特集で「餓狼伝ベストバウト10」てな感じの企画ページがあったのですが、
1位「丹波文七VS堤城平」
2位「グレート巽VSクライベイビーサクラ」
となっていました。んで、3位以下が何だかパッとしません。殆どが水入りになった闘いばかりです。ていうかよくよく考えるとこの漫画、最後まで闘い切った勝負があまりないです。すでにコミックス11巻まで発売されている漫画ですが、まだ仕込みの段階という印象が拭えません。
3月4日(月)☆☆
今週のジャンプ感想。最近は随分読み切りが多いな等と思っていたんですが、そう思った中には新連載も含まれていました。
そう言えば「グランバガン」の1巻が発売されていましたが、この月刊ジャンプっぽさは何なのか。
●ワンピース
ゾロの樽の頭のトコロにタコがずっと乗っていたのが芸コマ。沈没船探索、ゾロもサンジも自分の興味のあるものばかり捜索してる感じです、ワケの分からない壷を手にしてるルフィはともかく。
巨大生物の描写も凄い好きですね。ワクワクドキドキ異世界ファンタジー。最後は超巨大なカメに沈没船毎パクっといかれて絶体絶命な感じで終了。きっと、このカメが空を飛んで空島まで運んでくれそうです。
●いちご100%
お色気担当漫画ですが、僕的には何かが足りません。それは、汁気です。別に汁の色は問いません。汗だくの女の子はそれだけでいやらしい。
●サクラテツ対話篇
最終回でした。メタなネタはフジリュー好みっぽいですね。
●ストーンオーシャン
ピノキオにはアレンジ加わってるのにマジンガーはそのまま抜け出てるんですか。それとも、ロングなので分からないだけで、近付くとディテールにイヤなアレンジが入ってるんですか。
精神と肉体が分離してる、というコトらしいんですが、まだ良く分からないです、危険度が。肉体部分にも(純真な子供の頃の)精神が残っていて、子供らしく自分の興味対象のみに気が行って、勝手に動いてしまう感じ、なのかも。それを今現在の精神体のみの自分が(危ない! そっち行くなって! 事故るって! 後ろ! シムラ後ろ!)と眺める状態になるのかも。
●ハンター×ハンター
太極拳のスローな組手をハンター×ハンター世界で冨樫流解釈。それを言い表わす名称が流々舞(るるぶ)ってのはまあ置いておいて。
後半にていよいよ「爆弾魔」が正体を現し、新たな展開を見せてくれそうな気配。修業ばかりだったので嬉しい。作者休みそうですが。
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《更新履歴》...「イラスト」にヒソカ/榎木津礼二郎/私は誰とも争わなかった追加。
シフト休日でしたが読書はイマイチ進まず。まあ、15時に起きたし。ジャンプ立ち読みに行ったし。せめてこれから殊能将之「鏡の中は日曜日」を読了します。
3月3日(日)☆☆
《更新履歴》...トップ絵変更。
雑記は後ほど改めて。
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●飛鳥部勝則「バベル消滅(角川文庫)」
小さな島の版画館で警備員として働く風見国彦は、毎日決まった時間に訪れるセーラー服の少女に気づく。彼女の目的は、アントニスゾーンの版画『バベルの塔の崩壊』。閉館までその作品の前に立ちつくしてる少女に、風見は興味を抱く。
同じ頃、島では連続殺人事件が発生。殺人現場には必ず『バベルの塔』の絵が残されていた。
殺人事件の犯人は誰か、バベルに秘められたメッセージは何か、そして美少女と事件の関係は?
自作の絵画を口絵として添える作家、飛鳥部勝則。んで、その口絵なんですが、セーラー服を着た人物とバベルの塔の絵です。ですが、このセーラー服の人物が男にしか見えません。単なる変質者です。しかも作中でもこの絵(登場人物の伊庭典克が描いたものになってます)について言及されているんですが、この絵を見た人が「藤川志乃」の顔と一瞬見紛う描写があります。藤川志乃とは口蓋で「美少女」と表現されている女子高校生のコトです。台無しです。
第1章「バベル侵食」にて教員/用務員/事務員の死を捜査し、第2章「バベル生成」にて「さてみなさん」と纏めに入る、いわゆる探偵役っぽいのが、教員の田村正義という男。この男がもう超ネガティブ。読んでて鬱になりそうです。飛鳥部勝則作品を読むのはこれが初だったので、(このキャラのこの発言/ミステリ観/思考ルーチンに作者の考えが反映されているのだろうか?)と、もう悩む悩む。
読み終えてのこの作品の感想としては、かなり慎重に作り込んでるミステリという感じ。海外の某作品と筒井康隆の「ロートレック荘事件」を思い起こしました。
海外の某作品ってのはネタバレになるので触れれませんが、「ロートレック荘事件」を思い出したってのは、最後の謎解きでいちいちページを表記して『この時にこう出ていたのはこういう意味』的解説が入るトコロ。この手法は正直僕としては興醒めなんですが、正解をここまでしっかり公開しないと矛盾を見つけたと勘違いして指摘してくる人が出るからでしょうかね。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」9巻
地下闘技場での鎬紅葉との闘いを終えた刃牙が青木ヶ原樹海へと向かい、巨木の元、自己の過去を回想する幼年期編がこの巻からスタート。
樹海へと向かう途中での刃牙のモノローグ、「オヤジあんたは......!」「あなたはもう......」「目の前だ!!!」
んなワケねえ。
幼年期編といっても13歳時代、地下闘技場チャンピオンである現在からたかだか4年前です。今現在「少年」なので、この過去のエピソードを少年期編なんて言い方も出来ない故の苦肉の表現でしょうか。
13歳刃牙、髪の毛も赤くてチリチリ(くせ毛か?)で、不良デザインです。8巻までで主人公の刃牙というキャラは闘い方が描かれた一方、性格がほとんど不明瞭だったので、この幼年期編にてその部分に少しずつ肉付けがなされていきます。20巻まで長々続いたのは果して当初からの予定だったのでしょうか。この頃は父親の闘いを尊敬している様子です。
一対多という変則的バトル、学園での日常、そして刃牙の母親がどうにも大富豪らしく、近代的なトレーニングを刃牙が積んでいるコトが描かれています。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」10巻
刃牙の対戦相手候補として二人の強敵の存在が描かれるこの巻。花山組2代目組長/花山薫15歳とプロボクシング世界Jr.ウェルター級王者/ユリー・チャコフスキー。
花山は非常に人気の高いキャラです。僕も刃牙の中で花山が一番好きかも。考えてるコトが花山自身の言葉(フキダシや写植重ね)で表現されるコトが皆無のキャラです。故に、何考えてるか分からないキャラであると同時に、不言実行オーラが出ています。
巻の前半はこの花山の強さを当て馬ボクサー/トニーを通じて表現されます。ごっつい指で、重ねられたトランプを纏めて引きちぎる等、花山の異様なまでの「手」の力が見られます。
ユリーと刃牙の対戦が後半描かれ、刃牙は破れます。13歳が世界チャンピオンに善戦する時点でとんでもないんですが、刃牙は悔しくて泣きます。ところでこの頃の刃牙ってやけに飛び跳ねてますね。
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●板垣恵介「グラップラー刃牙」11巻
裏表紙が不気味過ぎる11巻。何ですかコレ。
ユリーに勝つためにはパワー/スタミナ/テクニック、全てを最初から作り直さなければならない。そう感じた刃牙が飛騨へと山籠りへと向かいます。そこで待ち受けてるのが夜叉猿。僕が刃牙ワールドにファンタジーを感じるのはコイツのせいです。だって、架空ですから。登場人物ももちろん架空ですが、これは生物として架空です。
一度は夜叉猿の恐怖に飲まれた刃牙ですが、再戦に向けて猛トレーニング。エンドルフィンを出せるようになる、更には『死に際の集中力』をも身に付けます。エンドルフィンってのは最大トーナメントでも出てきてますが、『死に際の集中力』ってのはコレっきりなんでしょうか。それとも、頻繁に出ている(恒常化されている)んだけど、イチイチそんな表現を使ってないだけなのか。
3月2日(土)☆
ちょっくらトップを変更しようと考えていたらもうこんな時間です。おかしいなあ。
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●板垣恵介「餓狼伝」5巻
松尾象山の過去、そしてグレート巽の回想突入まで。
この5巻の帯に確か「10年前に読んだ活字の松尾象山に震えた」という感じの板垣自身の文が載っていたと記憶しています。その象山が19年前にプロレス道場に殴り込んだエピソードなんですが、その時に対戦した相手の強さの表現がイイ。煙草を一息で根元まで灰にする肺活力。こういう感じでの、読み手が容易に測れる日常の仕種での身体能力の凄さの表現が好きです。
そんな相手に勝利していた象山。何かキャラ、19年前も今も全然変わっていません。見た目も性格も。
巽は過去アメリカにて地下プロレスをこなしていたのですが、この巻ではまずはその導入部分。巽という脇役が主役を張るこの「VSクライベイビーサクラ」はこの巻から8巻まで続きます。ひょっとしたら現時点までの漫画版「餓狼伝」で、板垣が一番描きまくったキャラかも。
「オレがプロレスを ボクシングの高さまで引っ張り上げるッッ」
この台詞がイカす。プロレスにまつわる八百長/台本呼ばわりを排除した真剣(シュート)をひたすらに仕掛け続けて、ファンも着実に増やしていきます。
3月1日(金)☆
●板垣恵介「餓狼伝」11巻
前巻から始まった「丹波文七VS堤城平」決着、そして鞍馬が梶原を控え室で倒し大会に乱入までを収録。
同日発売だった「バキ」12巻と正反対の、密度の高い1冊。ほぼ文七VS堤からなるこの11巻、闘いがシンプルながらも描き込み密度が異様なほどです。戦闘中の二人のうち、心理面が表現されているのは主人公/文七のみ。堤は何を考えてるのか心理描写ほとんどナシと言ってイイです(虎王を喰らう直前、『勝...』とあるのが惜しい。これがなければ心理描写ゼロだったのに)。
連載時の感想にも書いたのですが、この堤の心理描写がないにも関わらず、堤が何を考えてるのかとても伝わる手法が上手い。文七がダウンして起き上がるまで、色々な心のうちが見えますが、堤がダウンした時もきっと同様だった、ダウンした堤を前に文七が様々に考えてたコトも裏返せば、文七がダウンした時にも堤は同じようなコトを考えていたのが伝わります。
アッパーズで読み逃していた文七が2秒でハネ起きる直前の回は、文七の過去が描かれていた模様。餓狼を16歳の時にも解放していた。喧嘩で尊敬していた先輩が素人の刃物に破れたコトへのショック。漫画版で文七の闘いへの起点が描かれたのは初、です。今後描かれるとは限りませんので、最初で最後かも知れません。
この「文七VS堤」は「巽VSクライベイビーサクラ」以来の、最初から最後まで描き切った名勝負です。
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●板垣恵介「餓狼伝」4巻
この巻は特にメインとなる話はなく、様々な登場人物達の関係/因縁といったものの仕込みや過去が描かれています。
プロレスと空手での長田と象山、竹宮流に関する藤巻と文七、いづれ来る闘いを予感させる文七と堤、一人の女性を廻る藤巻と姫川、虎王にまつわる象山と藤巻、北辰館の大会に対する長田と藤巻。
細かい仕込みが沢山あり、この巻の段階ではキャラクターがどう絡んでるのか正直ワケが分からなかったんですが、後々それがかなり活きてきてます。
堤がキャラ的にイイ感じです。朴訥実直ぶっきらぼうで。「近付くな それ以上近付くと動く」って台詞が素敵。
「餓狼伝 格闘士真剣伝説」によると、当初この堤、ブラッドピットみたいなデザインだったのを鮫の目を持った小男に変更したそうですが、予定されていたデザインはシコルスあたりに流用されたのでしょうか。
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