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1月10日(木)☆

 鮎川哲也「ペトロフ事件(光文社文庫)」読了。

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半村良「完本妖星伝(1・2・3/祥伝社文庫)」

鬼道の巻/外道の巻/神道の巻/黄道の巻/天道の巻/人道の巻/魔道の巻

1巻裏表紙口蓋

神道とともに発生し、超常能力をもってつねに歴史の闇に潜み暗躍してきた異端の集団---鬼道衆。彼らの出没する処、必ず戦乱と流血、姦と淫が交錯する。彼らを最も忌み嫌った徳川政権は徹底的な弾圧を繰り返した。が、八代将軍吉宗が退いた今、鬼道衆の跳梁が再び開始された!

 例えば、家畜は肥えさせられる為に餌を与えられているを解するに至るだろうか。

 と、いきなり意味不明なコトを書き出してしまう程の作品がこれ「妖星伝」。あまりメディア感想に「凄い」という言葉を使わないようにしたいんですが、凄いとしか言い様がないのが「妖星伝」。この祥伝社文庫版は講談社から全7巻として出されたものを2/2/3で3冊に収めた合本バージョンです。

 各巻に高橋克彦/京極夏彦/綾辻行人の推薦文が収められていますが、「あらゆるメディアを凌駕する」「ただ瞠目するばかり」「『傑作』などといった月並みな讃辞ではとても済ませられない」と、もうひたすら絶賛。内容はその絶賛に負けないどころか遥かに上回る凄まじさを見せつけてくれました。

 ストーリーは、下野壬生の領主鳥居家に不穏な雰囲気が漂うトコロから始まります。仲睦まじき領主鳥居丹波守とその妻。鬼道衆の跋扈により、この夫婦に破滅が齎される。鬼道衆という悪役の紹介プロローグだな、と考えるこの辺りまではお約束。

 んで、鬼道衆には十二家が存在し、それぞれの当主には宮毘羅/伐折羅/迷企羅といった具合に十二神将の名が振られている。この鬼道衆が崇めているのが外道皇帝という謎の空位。

 ここで僕が想像したこの「妖星伝」のストーリー展開が、この鬼道衆を敵役にして徳川あたりの先鋭部隊が活躍する山風忍法帖的なバトルもの、だったのですが、この予想はもうちょっと読み進めたトコロでいとも簡単に吹っ飛ばされます。想像を上回る、予想不可能な展開とはこのような作品のコトを言うのでしょう。しかも長大な作品でありながら、中弛みする事なく、過程過程全てがエンターテインメントしてる内容です。

 哲学/宇宙論/世界の全てをぶち込みながら、破綻を感じる事もなく、敵も味方も何もない主役不在の視点でグリグリと進む超伝奇SF。更にとんでもないのは『人間の存在意義』に半村的答えを出しているコト。

 『人間の存在意義』などというスケールの半端でない問いの答えは、得てしてどうとでも取れる漠然としたものになったり、誰もが知ってるコトを言い方をちょこっと細工した倫理的なものに落ち着きがちなのですが、半村良は逃げる事なく、SF的見解として明確に創作しているのが流石です。

 1巻の高橋克彦の推薦文にある「小説があらゆるメディアを凌駕するものだということを、読者は読み終えたとき実感するに違いない」、これ見事に決まってます。


1月9日(水)☆

今週のバキ感想

 梢江、キレる。しかも、随分と肝の座った切れ方です。花山にゲシゲシ蹴りを入れる、小石を頭にぶつけるといった横暴に出てます。格闘面において圧倒的な戦力を持つ者に立ち向かうこのシーンは、勇次郎に攻撃を仕掛けたバキの母/朱美と印象が重なりますが、ヒステリックに叫びながら仕掛けた朱美に対して、梢江は目が座ってるのが恐い。

 立ち去る花山の「痛ってェ」はキャラじゃないと思いました。格闘に生きるか、女を取るか、その2択を強いられたバキ。これで今後梢江が引っ込む方向に話が転がって欲しい。梢江が出る度にページ稼ぎにしか思えなくなってるので。

 後半はドイルVS昂昇。前回ラストでどんな攻撃をドイルが放ったのかは結局不明。左手は極フツーの状態にあります。外れた顎を自力でハメる昂昇。その様子を見てストライダムが驚いています。確かに凄いコトですが、この世界では今さらです。最後は昂昇が紐切りの構え、ドイルが甲/肘/膝から刃物をカキカキ出して妙なポーズで終了。

 外科手術で全身にチューブが通う肉体を持つドイルと思われます。紐切りでそのチューブを切断するのか、逆にチューブの硬度に指が通らないのか、それともその辺には全く話が関わらないのか、どうなる次号。

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加納朋子「魔法飛行(創元推理文庫)」

私も、物語を書いてみようかな---入江駒子のつぶやきは「じゃあ書いてごらんよ」の声にあっさりと迎え入れられた。幾つも名前を持ってる不可解な女の子との遭遇、美容院で耳にした噂に端を発する幽霊の一件、学園祭で出逢った〈魔法の飛行〉のエピソード、クリスマス・イブを駆け抜けた大事件......近況報告をするように綴られていく駒子自身の物語は、日々の驚きや悲しみ、喜びや痛みをたたえ、謎めいた雰囲気に満ちている。ややあって届く“感想文”には、駒子の首を傾げさせた出来事に対する絵解きが。

秋、りん・りん・りん/クロス・ロード/魔法飛行/ハロー、エンデバー 以上連作4編収録

 前作「ななつのこ」の流れを汲むほのぼのした感じの連作です。3つ目の「魔法飛行」が素敵。明確には記されていないにしても、ラストのペンライトの意味を考えるとニヤニヤしてきます。ロマンチック全開です。こんなイカした男女のやり取りは現実には難しいですね。

 全体的にほのぼのモードがありつつも、それぞれの物語の解決がイマイチでパンチが弱いと思っていたんですが、最終エピソードの「ハロー、エンデバー」でこの印象ががらりと変わりました。終わっていた今までの物語の新しい面が浮かび上がると同時に、とてもシビアな展開を見せます。人間/人生の優しさのみではなく、厳しさが描かれています。この「ハロー、エンデバー」1作で全てが引き締まっています。

 ラストを読み終えて、表紙に立ち返るとグッときますね。


1月8日(火)☆

 今邑彩「盗まれて(中公文庫)」読了。

 山田風太郎「笑う肉仮面」購入。このミステリ全集の出る順、巻数通りじゃないですね。これまでは巻数通りだったと思うんですが、何ででしょうか。「怪談部屋」のハードカバーがまだ売れ行きよくて先延ばしにしたんでしょうか。

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ダン・シモンズ「愛死(角川文庫)」

 この中編集には、シモンズ自身のあとがきが収録されています。作品に触れてもシモンズの生の発言を知らなかった自分には、これがとても面白かったです。かなりの皮肉屋。土屋賢二とかロシュフコーとかビアズみたいな印象を受けました。

 このあとがきによるとマーク・トゥエインも相当な皮肉屋らしいです。そう言えばシモンズの「エデンの炎」にトゥエインが出てきてるんですが、確かに皮肉屋に書いていたのを思い出しました。

○真夜中のエントロピー・ベッド

 事故に関するエピソードを鏤めながら進行する父と娘の物語。この事故の鏤め方がとても上手く、(イヤなコトが起きそうだ、ああ、ヤバい感じだ)と、最後の最後まで不安感がまとわりつく作品。

○バンコクに死す

 ごった煮感覚に満ちたバンコクという舞台で、主人公の現在と過去が交差しながら進行するホラー。シモンズのホラー作品には、伝承の中の怪物に科学的アプローチを試みるものが幾つかあって、この作品もその一つ。ラストが鮮やか。

○歯のある女と寝た話

 ネイティブ・アメリカンの少年を主人公に据えたファンタジー的な作品。明確なオチってよりも波のある展開(シモンズの長編的な)を見せる物語です。作中に「ダンス・ウィズ・ウルブズ」への批判じみた表現があり、更にあとがきでもモロ書いていました。

○フラッシュバック

 SFです。こうしてみるとこの中編集は、様々なシモンズの手札を見るコトが出来ます。フラッシュバックという「過去の記憶を再生する麻薬」。これに淫する子供、母親、祖父、三者それぞれの世代/価値観での「過去」。最後にはこの3つを上手く纏めています。

○大いなる恋人

 タイトル「愛死(LOVEDEATH)」に最も密接な関わりを持つ中編。架空の詩人の戦場で記した手記という体裁を取っている作品で、作者自身あとがきで述べてるようにモンタージュ的なものになっています。正直よく味が分からなかったというのが僕の感想です。


1月7日(月)☆

 今週のジャンプ感想。 

●ナルト●

 シカマル、やる気のない天才であるコトが判明。如何にラクをするかばかりに脳みそ使ってます。オッケーです。こういうヤツが世の中を便利にしてくれるんですから。シカマル、かなり優勢に闘いが進行してる様子。これがバキなら負ける展開ですが。ホントはもっと影伸びるんだけど、上限を見誤らせるために実は伸ばし惜しんでるってのに1票。

●ワンピース●

 扉の1コマ連載が今どうなってるのか分かりません。コレは一体何でしょうか。前回どうでしたっけ。

 ビビが仲間になるかどうかが次回のスポットになります。なってもならなくても、どちらに転んでもワンピースらしい展開だとは思いますが、そろそろ仲間にならないエピローグが見てみたい。

●遊戯王●

 城之内が勝ちそうになったのが恐ろしいです。ストーリーの都合上マリクの勝ちが固定されているとはいえ、こんな際どい勝ち方になってはマリクのラスボス株が暴落します。決勝は遊戯VSマリクになりますが、遊戯は神のカードを2枚持って勝ち登るコトになります。知られざる神の合体とか出るんでしょうか。

●ハンター×ハンター●

 ババア、キャラ変わってます。男の友情をメタメタにしたいなんて考えてた頃もあったのに、いまじゃすっかり幻海です。切り裂き美容師も同行するようにならないかなあ。顔的に無理っぽいですが、桑原のコトもあるし。

●ストーンオーシャン●

 戦闘方法の可能性が絞れてきた感じです。エンポリオ少年が無茶苦茶な扱いを受けています。不吉なコトばかり言ってたエンポリオですが、本当にひどい目にあってるのは今回が初めてです。


1月6日(日)☆

 今邑彩「大蛇伝説殺人事件」読了。ムラの漢字が見つからないので他のトコロからコピペしたんですが、ちゃんと表示されるかどうか。

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山田正紀「たまらなく孤独で、熱い街(徳間文庫)」

裏表紙口蓋

街は毒々しく猥雑でとりとめなく、あまりに騒がしい。スモッグがネオンを反射して、天国に迎える前に死者の霊魂を清める煉獄の炎のゆらめきを私に連想させるのだ。新しい秩序とかたちを街に取り戻さなければならない。それが私の使命ではないか。ある日曜日の早朝、横浜山下公園で女子大生の死体が発見された。それが悪夢の始まりだった。

 唐突に始まり、唐突に終わる作品。もう行き当たりばったりで書いてみたんじゃないかという感想しか出てきません。徳間書店創立30周年記念特別書き下ろし作品、となっていますが、この原稿依頼を受けたものの何も思い浮かばず、無理矢理ネタを捻り出して何とか1本作ってみただけのような、何もない作品でした。 

山田正紀「殺人契約 殺し屋・貴志(光文社文庫)」

殺し屋/逃亡/システム・キリング/契約違反/二重奏/共喰い/待機 以上7編収録 

 貴志という殺し屋を主役に据えた連作短編集。山田正紀流に「殺し屋」という存在を、肉体/生理/心理面/仕事の契約などといった特異性をきちんと想定し、作り出されたのが主人公貴志。デュマレストほどではないにしろ生き抜く事にシビアに向き合ってるキャラです。

 殺し屋に対する物語として「依頼→準備→実行」という単一的な構成ではなく、各短編毎に逃走劇/対決/依頼人は誰か/同業者の存在など、様々なアプローチが試みられています。加えてミステリ風なひねりもあったりで、安心して読める1冊。殺し屋の小説に『安心して』ってのも妙な表現ですが。「二重奏」意味不明な残留があって僕的にお気に入り。

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「グラップラー刃牙」21巻

 長い幼年期の回想を終えた刃牙が目覚め、いよいよこの巻から「最大トーナメント編」に突入です。まだ「最大トーナメント編」という表現に固まっておらず、「新・地下闘技場編いよいよスタート」などと謳われています。

 時間軸の流れとしては8巻の続きになります。この巻の序盤では、愚地独歩率いる神心館空手の最終兵器/愚地克巳が登場。独歩の養子です。無頼を極め、刃牙のライバル的存在となるハズだった加藤清澄が克巳の名を聞いた途端、

「冗談はよしてくれよ...館長...だってあの人は...アンタ...」

「克己さんは来たる世界大会用のキリ札として...」

などと冷や汗をかきながら焦り放題。克己さんと来たもんだ。

 独歩VS勇次郎が描かれた地下闘技場、勇次郎の子供/刃牙に対するライバルとして相応しいキャラが遂に登場。いま振り返って見れば凄いミスディレクションだったワケですが。

 そしてこの巻の見どころは選手入場たる「第185話 祭りが始まった!!」でしょうか。1話で60ページという連載時にはもの凄いコトをやってのけたんですが、その内半分ほどのページを消費して、絶叫アナウンスと共に全選手の入場シーンが描かれてます。この絶叫アナウンスは2ちゃんねるでもパロスレが大量に立ち上げられるほどの内容です。


1月5日(土)☆

「グラップラー刃牙」3巻

 地下闘技場「刃牙/鎬昂昇」戦を収録。地下闘技場ではすでにチャンピオンの座にいる刃牙の闘いが読者の前に公開される巻です。

 末堂との闘いは空手というものを効率よく短期間で理解するために刃牙が取った手段。何故、空手を理解しなければならなかったのかと言えば、地下闘技場での次なる相手/鎬昂昇が空手の使い手である故。通称紐切り鎬神経を指で引きちぎる。ていうか空手なのかコレ。

 鎬昂昇というキャラを紹介する為、スペインの牛追い祭りで暴れ猛牛の視神経をぶったぎっていたなどというバカなエピソードもあっての「範馬刃牙VS鎬昂昇」。紐切り以外にも斬激、一本貫手から成る鎬流空手です。これは空手でも亜流な感じじゃないでしょうか。末堂との闘いのノウハウが役立ったとは思えません。何はともあれ刃牙の勝利でしたが。

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都筑道夫「朱漆の壁に血がしたたる(角川文庫)」

 物部太郎&片岡直次郎シリーズ第3弾。今作では、遂に物部太郎の相棒片岡直次郎が殺人容疑で逮捕されます。冒頭でいきなり。このシリーズはこの3作目で止まってるのでしょうか。だとしたら、あまり触れないでおいた方がいいかも知れません。

 いややっぱ触れますが、もちろん直次郎犯人なんていうオチにはなりません。「シリーズラスト=探偵もしくはその片腕が犯人」という安易な方向にこの作家が持ってくるとは誰も思わないでしょうから書いちゃいましたが。

 ワトソン役の片岡直次郎の名は「河内山宗俊」から取られているんですが、今回は更に森田清(森田屋清蔵)、暗闇の丑松(牛山松吉)、三千歳(知登世)、金子市之丞(金子警部補)といったパロディなネーミングの面々が登場。知ってても知らなくてもどうでもいい部分ですが、こうした潜みは楽しい趣向。

 基本的なストーリー部分は一切無視した感想を述べますが、物部太郎すっげーパズルマニアですね。今作はその印象が一層強まりました。

 あと、序盤で推理小説家の紬志津夫が語る推理小説作成論が興味深く読めました。この作中人物の名前は都筑道夫の文字りなので、都筑本人の論が少なからず入ってると考えて差し支えないでしょう。真剣に推理小説に向き合ってるのがとてもよく分かります。

 ふと感じた余談的なコトですが、綾辻行人の「十角館の殺人」は、この作品で余技として使われてるミスディレクションを、より多数の読み手に理解しやすいものに置き換えたのではないのかな、と感じました。それ一つならまあ偶然かも知れませんが、他にも「殺人方程式」の某部分に通じるネタもあったので。


1月4日(金)☆

荒木飛呂彦「魔少年ビーティー(集英社文庫)」

 荒木飛呂彦の初週刊連載作品。

 荒木飛呂彦作品は各作品毎に培ったノウハウが結果的に全て「ジョジョ」という大河へと集約されるんですが、この作品「魔少年ビーティー」の場合、知力戦という面がその片鱗を見せてます。見せてますっていうか実際にあとがきに作者自身が述べてる通り、この作品のテーマですね。

 あとがきで作者は当作品を「シャーロック・ホームズへのオマージュ的な作品」と語っています。何となく魔太郎チックな部分もあります。「くらわしてやらねばならん! 然るべき酬いを!」なんてセリフからそんな印象を受けます。魔太郎がいじめられっコ故の復讐心から動いてるのに対して、ビーティーは精神的貴族、プライドの高さから動いている感じですが。

 これは子供だった頃には結構イヤな作品だと思いましたね(笑)。ブラックなので。何かすっきりしませんでした。意味が分からない部分もあったし。ビーティー、一応語り手である少年には心を開いてるんですが、捕らえ所がない主人公です。何つーかメルカトル鮎的。これは確かに当時の少年誌向けとは思えないキャラ作りです。今ならこんなノリの主役も許容だと思いますが。

 最後に収録されている「そばかすの不気味少年」、これは今読んでもイヤな気分になりました(笑)。そばかす少年を誤って轢いてしまったコトから始まり、その少年が家に住み着き、家族も呼んできたりでいつしかどんどんと家を乗っ取られていく話です。ストーリーのイヤさ加減もさるコトながら、家族の顔が本当にイヤな顔(絵)してます。


1月3日(木)☆

 山田正紀「五つの標的」、加納朋子「魔法飛行」読了。5連休中の自分読了ノルマだった10冊は結局無理でした。

 それにしても2日前に観た「メソポタミア殺人事件」の内容を早くも忘れつつある自分が恐ろしいです。

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夢枕獏「陰陽師 付喪神ノ巻(文春文庫)」

 「活字倶楽部」での作者インタビューで、「晴明は、現代の知識を平安に持っていったらどうだろうという発想から生まれたキャラクター」という感じのコトを夢枕氏は語っていた覚えがあるんですが、確かに時折出てくる哲学的でいて宇宙の本質に迫る発言にはそんな感じが伺えます。

 冒頭で謎が掲示され、それが解明される。安倍晴明/ホームズ、源博雅/ワトソンみたいな配役になってるんですが、謎の解明は現代に於いて合理的とされる解明ではなく、鬼・もののけ・霊の存在がアリな上での解決になっています。途中の伏線を組み合わせればラストが読者にわかるミステリ、というものではなく、ミステリ風の作品ですね。あくまで風。

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「グラップラー刃牙」1巻

 全国空手大会の決勝戦、刃牙VS末堂を収録。僕が刃牙を読み始めたのは、「覚悟のススメ」目当てにチャンピオンを読んでいた頃、(あ、この漫画も面白いな)という感じで注目し始めました。その時やっていたのは「超軍人ガイア」辺りだったでしょうか。なので連載当初から読んでいたワケではないんですが、こうして1巻を見てみると、いきなり決勝戦から始まっててとんでもなさが伺えます。

 この巻では主人公/刃牙の目指す強さ・この格闘漫画の方向性が「ルールの設けられた競技内でのトップ」ではなく何でもありの格闘での最強」に向けられてるコトが描かれています。

「この大会ではそこまでやる選手はいないでしょうけどね 噛みつきは反則のようですから」

「格闘士ホントに倒したきゃさ...顔面...打たなきゃ...たとえ反則でもね」

この刃牙VS末堂は、反則だからダメ的制約に縛られているスポーツ(競技)とは一線を画した闘い、それに満ちた格闘漫画、の前章的なバトルに位置付くと思います。当て馬としての末堂です。

 あと余談ですが、やっぱ連載初期って絵が下手ですね。愚地独歩にメキュッとやられる時の末堂、頭身ひどすぎます。ギャグ漫画的です。

「グラップラー刃牙」2巻

 刃牙の学園生活といった日常、愚地独歩・加藤清澄・本部以蔵など謎めいたキャラ(当時)がいよいよ動き出す巻。そして、東京ドーム地下闘技場の存在が明らかに。

 3年間ヤクザだった経歴を持つ暗黒街で鍛え上げられたルール無用ぶり、刃牙とは正反対のキャラ作り(オールバック・ダーティな雰囲気・下品な口調など)から、刃牙のライバル的存在として登場したであろう加藤清澄ですが、解説も兼ねた地下闘技場への驚きぶりが運命を決したと思える気もします。


1月2日(水)☆

 半村良「妖星伝3」、D・シモンズ「愛死」、夢枕獏「陰陽師 付喪神ノ巻」、山田正紀「たまらなく孤独で、熱い街」「殺人契約」読了。この日記アップしてから読書続行予定。読んでも読んでも未読が減りません。

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名探偵ポワロ「白昼の悪魔」/TVドラマ版

 これは原作を読んだコトがありました。メイントリックの部分は覚えていて、細かなトコロを思い出しながら観ました。答えが分かっていて観てるコトになっていたので、伏線がどう張られているのかを確認しながら楽しみました。いやあ、これヒントのパーツを組み合わせて犯人がちゃんと浮かび上がるようにはなってるんですけど、なかなか想像付かないっすね。

 ポワロの肥満にまつわる、本筋とは離れた部分が面白かったです。箱型サウナに入って頭だけ出してる絵なんて、映画館ならドッと客が沸くシーンでしょうね。ほら、映画館って必要以上に笑いが起こるし。


1月1日(火)☆

 都筑道夫「朱漆の壁に血がしたたる(角川文庫)」読了。何かこの5連休まだ1冊しか読み終えていない。

 今非常に「火星シリーズ」のお姫様のイラストが描きたい。もうムチムチに描きたい。問題は、「火星シリーズ」を読んでいないコトでしょうか。

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名探偵ポワロ「メソポタミア殺人事件」/TVドラマ版

 テレビ東京でやっていた「徳光VSえなり新春ゴルフ対決」とどちらを観ようか迷ったんですが、こちらポワロを観ました。

 原作アリのドラマは出来れば先に原作を読んでおきたいってのが僕的心情。「原作/映像化」どちらも「読む/観る」ものとしたら、読む方を先にしたい。理由は、読む方が労力がいるから。読んだものを観る気にはなっても、観たものを読む気になかなかならないんですよ。ただ、クリスティ作品は大量にあるので全てを読もうという気にならない為、この「メソポタミア殺人事件」も原作読んでなくても映像化したものを躊躇なく観ちゃいました。

 そんなワケで感想。

ポワロ、コミカルです。

紳士的に振る舞えば振る舞う程に滑稽さが滲み出ますね。序盤、ロクでもない部屋に寝泊まりしなきゃならなくなって「蚊屋はないのかね?」なんて言うシーンが弱そうで良かったです。これでエルキュール(ヘラクレス)ってんだから、クリスティのキャラ作りに唸ります。刃牙で言うなら、この顔で薫かよ的面白みを感じました。

 ラストの謎解きも鮮やかでした。鏤められていたパーツがビシビシと繋がり、密室が解体される快感。他には特に、「ある日を境に亡夫からの脅迫状がばったりと止んだ理由」の解明にはゾクゾクきました。この作品ってどれぐらいの評価を受けてるのか知らないんですが、映像化されてるってコトは原作もそれなりの評価を受けてるかな。

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