島袋光年


島袋光年「世紀末リーダー伝たけし!」

 非常に時期を逸してしまった感があるのですが、この作品についても自分の見解を述べておきたいと思います。死者に鞭打つみたいな感じがしますが。

 「世紀末リーダー伝たけし!」は読み切り形式のギャグが本流で、ホロリ人情ものやバトル型ストーリーものなど様々なエピソードで固めた作品でした。ギャグ部分、これは色々なものをパクっていたのですが、僕としては面白く読めてたし何でも吸収して自己流で咀嚼して表現しようという作者のスタンスは好きでした。

 取り敢えず問題に思えたのはバトル長編サイドです。単行本の何巻かの作者の冒頭の言葉で「ああ、何も考えずにバトルシーンを描くのは楽だ。小便を垂れ流すように気持ちがイイ」という意味のコトを述べてた時があり、その辺は正直意識の低さを感じてバトルものに対する島袋光年の見解に共感は出来ませんでした。

 それでも、トニー編/モービー編あたりは上手く話を転がせていたと思います。帰納法ではなく展開法でストーリーを作っていたんでしょうが、それがイイ方に開花/着地出来ていました。この頃はバトル編自体も「たけし」という作品の中でイレギュラーなエピソードでしたし、そのイレギュラーエピソードもこうして面白く意外な方向で話を纏められていたので充分良質の域でした。

 それがいつぐらいから変化したのか、最終エピソードだったと思われる安藤編、これは非常にグダグダな展開を見せていました。パレット編でも感じたコトとして、無意味に新キャラを出してみてもそれを使い切るコトが出来ずに数週後にはザコのように退場、なんてのが目立ちました。モービー編で『展開法で描いてもどうにかなる』というのに味をしめて思い付きをボンボン出してみたけど結局ダメだったという感じです。

 ただでさえナメた扱いしていたバトルものですら、既にこうしたレベルのものしかアウトプット出来ない程にまで島袋光年は枯れていました。充分、漫画家生命は終わっていたと感じます。

 なので、そんな中での買春事件での作品の打ち切りは、事件がなくても別に打ち切られていた作品の終了がちょっと早まったというだけに過ぎません。そして、問題なのは、『万引きして逃げて電車にひき殺されたバカを擁護する』バカが現れたように、この事件で論点のすり替えが行なわれるのじゃないのかというコトです。

 買春で捕まったコトで『作者の人格と作品は別物です』という言葉の元、すでに死んでいた作品が息を吹き返すんじゃないのかという危惧です。『作者の人格と作品は別物』という言葉は全くその通りだと思いますが、『島袋は犯罪者だけど作品はまだまだ素晴らしかった』、ではなく、『島袋は犯罪者で、たけしという作品もまた充分寿命』でした。※これはあくまでも進行中だった連載部分についてです。既単行本出版停止に関しては僕も疑問です。

 当サイトの管理人繰時屋はさみは、時の流れによる記憶の劣化やすり替え判官びいきの心理で「世紀末リーダー伝たけし!」が復活するコトを心から恐れています。


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