秋月杏子


「建築探偵桜井京介の事件簿1 井戸の中の悪魔(原作:篠田真由美)」

 原作の「桜井京介」シリーズの方は「未明の家」「玄い女神」の2作を読んだ時点で続きを読んでいません。僕と波長が合いませんでした。労力に見合うだけの快楽を得られませんでした。

 んで、原作の文章がよく分からなくても漫画なら、と手にしたこのASUKAコミックスDX版です。

 秋月杏子という人が何者なのか知らないんですが、最近キャラ人気先行のミステリが流行ってるから漫画にしても受けると思うのでミステリ好きの同人作家に原稿依頼してみました的フローで出た作品のような印象です。

 あとがきから、大ファンたる桜井京介モノをコミック化できる! という感じが伝わり、その辺好印象。漫画も当然のコトながら読み易かったです。僕的に読み進めるのが辛かったこのシリーズをコマ割り等の為に何度も読み返したのかなあ、と考えるとありがたいです。

井戸の中の悪魔

 過去、京介がイタリアの「サン・パトリッツィオの井戸」にて転落死させられかけた事件を蒼と栗山深春に謎解き挑戦させるエピソード。原作通り前髪が目を隠すほど長い桜井京介。深春はオヤジキャラで、このコミック版でもヒゲ生やしてたりするんですが、顔がオヤジじゃない。

 途中、図解が入るあたり、小説で読んでたらワケわかんなかっただろうなあ、ありがたいなあ、と思いました。それにしても犯人が京介を突き落とそうとした動機が無茶苦茶です。動機は物語の装飾に過ぎないと再認識。

迷宮に死者は棲む

 謎多きキャラクター/蒼の過去の断片がちょくちょく割り込んでくるのですが、このコミック版のラストで回収されるのでしょうか。イメージ的な絵/コマ割りをその時々で描きたいから描いてみました止まりで終わって欲しくないなあ。

 ネタ的には建築が絡んでいますが、やはり短編用の小ネタです。小説で読んでいたらあまりのどうでもよさにきっとムカついていたでしょう(笑)。


「建築探偵桜井京介の事件簿2 桜闇(原作:篠田真由美)」

塔の中の姫君

 名門お嬢様短大の海外ツアーの添乗員手伝いとして、京介と深春が恋人と擬して(=女に興味がない)参加するという、狙い過ぎエピソード。

桜闇

 こうして漫画にしてもらったのを読むと、「建築探偵桜井京介シリーズ」はトリックがどうでもイイ作品に思えてきます。キャラ小説ですね。

 このエピソードでは京介の過去について触れられていますが、これは狙い過ぎというより賛否両論なんではないでしょうか。京介ファンにとって。

 両作品のパロディ4コマが1つずつありますが、どっちも正鵠を射ています。

 あとがきで原作者が小説版をやたら宣伝しています。あまりにも宣伝し過ぎなのでちょっと不愉快です。


漫画乱雑感想へ

トップへ


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送