きくち正太


●「おせん」1巻

 食の老舗『一升庵』へ帳場修業に来た江崎くんの目を通して描かれる、『一升庵』の女将/半田仙ことおせんの姿を描いた作品。という感じでしょうか。普段はすっとぼけてるけど、審美眼に優れてる女性、それがおせんです。

 『酒・料理・陶磁器・かやぶき屋根......日本の美を想起させる、自分が魅かれてやまない数々の事象、事柄をまんがにしたらこうなっちゃいました。ああ、あともちろん女性も......。』というのが作者の言葉。「本物」を見極める目、という意外と昔ながらのテーマで、その辺は土屋賢二イズムに感化されてる自分としては意義もあるんですが、この作者観で安定した作品にまとめあげられているので、別に抵抗はなし。

 きくち正太というと「獣王バイオ」しかロクに読んだコトないんですが、その頃に比べると絵が独特な方向に変化してますね。人物はデフォルメ路線で他はやけに写実的。んで、それが上手く調和されているという。あと、男女問わずアラレちゃん系のキャラをよく描く人というイメージがあります。

 1巻で一番ステキなシーンはP189。男アラレちゃんが一升瓶ラッパ飲みのコマがカッコイイ。


●「おせん」2巻

 1巻にはなかった「あとがきノオト」なんてものが巻末にあるので、てっきり2巻で終了なのかと思ってたんですが、先日書店で4巻まで置いてあるのを見かけました。読み切り形式(連作)なのでいつでも終われるんですが。

 作画にしろ構成にしろどれも安定した作りなので、特にコレがイイ!とズバ抜けたものをあげれないのですが、無理矢理言うならこの2巻では10話、おせんの母登場がインパクトがありました。

 この「おせん」はドラマ化しても面白いかもと思わせるネタです。内容がヒューマンドラマ的で万人向けだし(万人向けって言葉は、頭の堅い年寄りにも道理の不安定な子供にも大丈夫という、悪い意味もあるんですけどね)。もとから独特の画風なので、役者に関しても「ビジュアル面でイメージが違う!」という弊害も薄そう(誰がやってもビジュアル的に違う)。


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