竹本健治


●「入神」(南雲堂)

 天才少年・牧場智久の本領たる「碁」の世界を扱った漫画です。牧場智久とは、竹本健治の著作ミステリ、「囲碁殺人事件」「将棋殺人事件」「トランプ殺人事件」の「須堂信一郎&牧場智久」シリーズ及び、「凶区の爪」「妖霧の舌」「緑衣の牙」の「牧場智久&武藤類子」シリーズに出演しているIQ208の天才少年。(少々脱線しますが、この二つのシリーズでは「須藤&智久」モノが好みです。天才智久がワトソン役に回ってるってのがちょっと憎い)

 んで、この漫画「入神」はミステリではなく、あくまでも勝負、そして天才に対しての竹本健治観が描かれています。「囲碁」という媒介を用いて、「その道」の天才とはどういったものかが描かれています。

 そして竹本健治がこの作品で天才の位置に据えているのが、智久ではなく、桃井くんという男。桃井くんとはどんな人物かと言えば、コミケ用にやおい同人誌の原稿を描き、アイドルコンサートに通い、対局室に犬を持ち込む男。でも碁が強い。

囲碁に関して全く努力をしていない。ただ強い。強く生まれたから強い。

強さの理由、特になし。

あえて言うなら、

碁の神に愛されている。

そうとしか説明できない理不尽な強さ。神様から握力をプレゼントされたと表現される花山のように、桃井くんには碁の才能がプレゼントされた。このキャラ造型、憎いです。毎日毎日ひたすらIQ208の頭脳をフル回転させながら碁のコトばかり考えている牧場智久が、それでも未だ届かない場所にいる存在。「入神」は、このまるで正反対の二人の勝負を熱く描いた作品です。「天才」に対する竹本健治の一つの答が「碁の闘い」を通して描かれています。


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