岩泉舞


「七つの海 岩泉舞短編集1」(JUMP COMICS)

 短編集1なんてなってるけどこれしか出てませんよね? 雑誌掲載時には作者名のワキに『北海道のミルク娘!』などと妙なアオリの付いてた記憶のある岩泉先生のコミックスです。

ふろん

 収録作の中で一番好きな作品です。これはデビュー作なのですが...よくデビュー出来たなと思わせる内容。つまらないという理由からではなく、少年漫画っぽくないから。

 感覚としては乙一作品のような、謎のシチュエーションが謎のまま終わる、でも確かに別のトコロで明確なテーマを持っているという。この『謎が謎のまま』って部分に少年漫画向けじゃないものを感じます。そしてその部分(余剰)を含んでるが故に、一番気に入ってるんですが。

忘れっぽい鬼

 作者が自作の中で一番少年誌らしさを意識して描いたという作品。鬼という存在の作中における特性などを話に絡めて読者に伝える等、2作目にしながら随分熟れてる印象。ノリが高橋留美子っぽい。ていうか絵柄もそれっぽいです。

たとえ火の中...

 「忘れっぽい鬼」とは逆にヒロインが明るいです。シリアスな終盤も、ラストにはこのヒロインの性格で救われてます。ちょっと史実を絡めたような話。それにしても...岩泉先生の作品、タイトルはイマイチですね。こんなにプロット素敵なのに。

七つの海

 少年の成長の瞬間を捉えた作品で、しかも見た目にはほんの小さな成長/だけど以後確実に大きな変化へと繋がる、そんな分かりにくい成長の瞬間を扱いつつも上手く表現し切れてるのがイイ。微妙なものを面白い肉付けで漫画にしています。ラストの女の子の目利きっぷりが作者の視点を思わせます。

COM COP/COM COP2

 シリーズもの。子連れの幽霊課刑事が主役です。テーマの選出は極めてフツーなんですが、その見せ方/演出/キャラクター造型がこの作品も素敵です。

 全作品、少女漫画の利点(主に密度)と少年漫画の利点(主にストレートさ)双方のイイトコ取りで成り立ってると感じさせるものばかりです。

 最近の少年漫画の主流とはちょっと毛色の違ったジャンルで味のある作品が読みたいなあと思ってる人になら、オススメの1冊。


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